うちの風呂場には大きな鏡がある。 その鏡に自分を映しながら、ぼくはいつもヘラヘラ笑っている。 こうやると幸せがやってくるそうだ。 出来たら声を上げて笑った方がいいらしい。 だが、風呂場の音は外に漏れるのでそれは躊躇する。
さて、今日もいつものように鏡の前でヘラヘラ笑っていたのだが、何か顔がテカっているように見える。 その時は照明の具合だろうと思っていたが、そうではなかった。
風呂を上がってから実家に行ったのだが、その時に母から、 「何ね、あんたの顔」と言われた。 「なんか付いとる?」 「いや、焼けとるんよ」 「前から焼けとるやん」 「今日は格別に黒い」
そういえば、今日の日差しは、熱中症になるのではないかと思うほどすごかった。 今日も例のごとく昼間に歩いたのだが、その時はなるべく日陰を歩くなどして、頭をかばっていた。 おかげで熱中症になるようなことはなかった。 が、そのエネルギーは顔に作用したわけだ。
まあ、別にぼくは日に焼けてもかまわないのだが、世間ではそうではないらしい。 昔は日に焼けることが健康的だと言っていたのに、今ではシミ、ソバカスや皮膚ガンなどの原因だなどと、とかくマイナス要因のように言われている。 この調子でいくと、そういう声に過敏に反応し、外に出ただけで気分が悪くなるような神経質な人も、遠からず出てくるだろう。
花粉症がそうだった。 昔はそんなことで騒ぎもしなかったのに、一度その名前や症状が紹介されたとたん、「私も、私も…」というふうになり、あっという間に広がったのだ。 これも言葉による過敏症だと、ぼくは思っている。
出来たらぼくは、そういう人になりたくないのだが、ここ数年は若干花粉症気味だ。 しかし、日焼けだけには反応せずに、それが健康だと思っていきたい。 そうしないと、夏が楽しめない。
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