昨日紹介した『春一番』について触れておく。 昨日も書いたが、この歌は高校2年(1975年)の3月に作った歌だ。
ぼくの行った高校は、3月頭の卒業式に前後して学年末テストが行われ、それが終わると春休みまで自宅学習期間に入る。 自宅学習期間、つまり休みである。 学校ではその間、入学試験や追試といった行事がある。
ぼくは、その前々年に入試を、前年に追試を受けた。 入試はともかく、追試の時は悲惨だった。 追試通知を受けたのが、試験日の1週間前。 それから地獄が始まった。 何が地獄かというと、やったこともない勉強をしなければならないことだ。 しかもその教科というのが、ぼくの苦手中の苦手科目である生物である。 それだけではなかった。 さらに生物教師は無理難題を突きつけたのだ。 「試験範囲は1年で習ったすべてです」と言ってきた。 これは、生物の教科書を全部丸暗記しろと言うのに等しい。
はい、やりましたよ。 必死に暗記、暗記、暗記…を。 とにかくこれに落ちたら、友だちが、好きな人が、みな上級生になってしまうのだ。 こんなカッコ悪いことはない。 「落第したら、学校を辞めよう」とまで思ったものだ。 その勉強の甲斐あって、何とか及第点(70点以上)をもらえたのだった。
その反省をふまえ…、というか試験の要領を得たぼくは、2年3年で追試を受けることはなかった。
さて、学年末テストが無事終わった。 今年は、あの忌まわしい追試も受けなくてすむ。 3年ぶりに、ぼくは試験から解放されたのだった。 そして、その解放感が、一つの奇跡を生んだ。
学年末テストの翌日、ぼくが家で昼寝をしていると、頭の中に何かが落ちてくるのを感じた。 それは、これまでに味わったことのない感触だった。 「どうしたんだろう?」と思った次の瞬間、突然頭の中に曲が鳴り出したのだ。
初めて曲が落ちてきた瞬間だった。 もちろん、聞いたことのない曲だった。 さっそくぼくは、その曲をテープに吹き込んだ。 そして、すぐに歌詞を書いた。 曲が落ちてきてから、歌詞がつくまで1時間足らず。 こうやって新曲『春一番』は完成したのだった。
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