頑張る40代!plus

2005年12月21日(水) 無人車が走る!

昼間、店長の声で、変な店内放送が入った。
「お車ナンバー北九州…でお来しのお客様、至急お車までお戻り下さい。ぶつかってます」
というものだった。
ちょうどぼくが、休憩室でジュースを飲んでいる時だった。
ぼくはそれを聞いて「何かあったんかなあ」とは思ったが、あまり気にならなかった。
ジュースを飲み終わった後、売場に戻ってみると、テナントの子が「しんたさん、見ましたか?」と言う。
「何を?」
「えっ、駐車場ですよ」
「ああ、さっきの店内放送のこと?」
「ええ。すごいことになってますよ」

それを聞いて、さっそくぼくは駐車場に行ってみた。
しかし、すごいというほどの光景は、そこにはなかった。
そこで、そこにいた隣の店の人間に「何かあったと?」と聞いてみた。
「あれですよ」
そう言って、その人は向こう側の駐車場を指さした。
うちの店の駐車場は、店側に一列と、道路側に一列駐められるようになっている。
向こう側というのは、道路側のことである。

見てみると、軽のワゴンの後ろに、普通車が駐まっている。
「あれ?」
「ええ、あれです」
「えっ?」
ぼくには「あれ」のどこがすごいのか、すぐにはわからなかった。

その間には、2台の車が離合できるくらいの道路(私道)がある。
「あれ」に駐まっている車をよく見てみると、後ろの普通車がその道路にはみ出している。
『えっ…』
何となく事態がわかってきた。
そこで先ほどの人に、
「ねえ、あの車ぶつかっとると?」と聞いてみた。
「そうですよ」
「もしかして、あの後ろの普通車、最初店側に駐まっとったと?」
「はい」
「もしかして、あの普通車はミッション?」
「そうです」
「そうか。ようやくわかった」

その普通車は、最初、店側の駐車場に駐めていた。
ところが、運転手はシフトレバーをニュートラルにし、さらに悪いことにサイドブレーキをかけ忘れて降りてしまった。
駐車場は道路側に若干傾斜しているいたため、そのまま車は前に移動していき、道路側に駐めていた軽のワゴンに突っ込んだというわけだ。

店長が店内放送を流してから、10分以上経っても普通車の持ち主は現れなかった。
一方の軽のワゴンの持ち主は女性だった。
配達の途中とかで、車が出せないと言って困っていた。
他の人も同情してか、「普通車の運ちゃんは何をしよるんか!」と言って怒っていた。

そして、店内放送を流して30分を過ぎた頃、普通車の持ち主が買物を終えて戻ってきた。
老夫婦だった。
二人は最初に駐めていたところに車がなかったので、びっくりしていた様子だった。
ふと前を見ると、向こう側の駐車場に自分の車があるのを見つけた。
慌てて走っていった。

そこで軽の持ち主とやりとりをしていたようだ。
後で聞いた話に、ぼくは思わず笑ってしまった。
普通車の持ち主であるじいさんは、
「おれはちゃんとサイドブレーキを引いていた。こんなことは初めてだ」と言ったという。
ところが、その直後にばあさんが、
「あんた、またやったんね」と言ったそうだ。

しかし、車が移動している時、よく通行している車がなかったものだ。
もし通行している車に当たっていたら、こんな笑い話ですまなかったかもしれない。


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