新潟県中越地震が起きてから、テレビでは連日、そのニュースを流している。 仕事の合間に、ぼくもそれを見ているのだが、その惨状を見るたびに「ひどいなあ」「大変だなあ」と思っている。 とはいえ、新潟は地理的にも遠く、また知り合いがいないこともあり、何か他の国のニュースを見ている感があるのは否めない。 先日そのニュースを見ていたお客さんも、「北九州は地震もないし、台風の被害も少ないし、ほんといいところやねえ」と言っていた。
ところがである。 今回の地震、対岸の火事ではなかったのだ。 朝会社に行くと、日用品の担当の人が「収納ケースが当分入ってこん」と嘆いていた。 「どうしたんですか?」とぼくが尋ねると、「うちで売っているケースは全部新潟で作っとるんよ」と言う。 「地震のあったところですか?」 「それはわからんけどね。被害に遭ってないにしろ、道路が壊滅状態らしいけねえ」 「ああ、そうか」
それを聞いて、ぼくも自分の部門の取扱商品を調べてみた。 幸い、メーカーから仕入れている商品に関しては大丈夫だった。 だが、卸屋から仕入れている特価商材の中に、新潟近辺の工場で作った商品がいくつかあった。 まあ、それらの商品に関してはメンテの必要がないし、もし何かあっても代替えが効く。
そういうことで、ぼくの部門に関してはひと安心だった。 ところが、そうではなかった。 意外なところで、それがわかった。 7月から続く台風の影響で、アンテナが飛ぶように売れ、先月、とうとう在庫が底をついた。 そこで、先月からアンテナの注文をしているだが、なかなか入ってこない。 問い合わせてみると、台風の影響で生産が追いつかないらしく、入ってくるのは今月末になりそうだ、ということだった。
今日のことだった。 お客さんから「アンテナはないんですか?」と尋ねられた。 メーカーから効いた旨をお客さんに言うと、お客さんは「ああ、そうですか。今月末ですか。それは困ったなあ。何日ぐらいに入るか調べてもらえませんか。ちょっと急ぐもんで」と言う。 そこで、担当の営業者に電話をかけてみた。
「もしもし、しんたですけど」 「あ、しんたさん、お久しぶりです」 「アンテナの件やけど、だいたいいつ頃入ってきそう?」 「それがわからなくなったんですよ」 「今月末には入ってくると聞いたんやけどね」 「ええ、当初は今週入ってくるようになっていたんですけど、それがだめになったんですよ」 「え?」 「地震ですよ、新潟の」 「そちらは新潟に工場があったかねえ?」 「いや、工場はないんですけど…」 「じゃあ、影響ないやん」 「それが違うんですよ。今回こちらに入ってくるはずの商品を、全部あちらに持って行くらしいんですよ」 「ええっ!?じゃあ、こちらには入ってこんと?」 「はい、そうなんです」 「じゃあ、こちらにはいつ入ってくると?」 「それが未定で…。年内には無理かもしれません」 「あらら」
お客さんにそのことを伝えると、「ああ、そうですか。それはしかたないですねえ。しかし困ったなあ…」と言いながら渋々引き上げていった。
この状況、アンテナだけではあるまい。 他の商品についても、同じことが言えるだろう。 これから寒くなるから、暖房器具などはその最右翼になるに違いない。 しかも、それはぼくの住む地域に限ったことではない。 おそらく、日本全国に影響を及ぼしていることだろう。
しかし、一地域の地震が、国全体に影響を及ぼすとは。 考えてみると、日本という国は身体のようなのものだ。 例えば足の小指をちょっと痛いだけでも、体の至る所に影響が出るが、それと同じようなものだ。 今回の地震で、それを痛感した次第である。
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