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2004年03月24日(水) 夜汽車

 『夜汽車』

 風よ、ぼくはもうすぐ行くよ
 君のもとへ走る夜汽車に乗って
 はやる気持ちを抑えながら
 目を閉じて朝を待つよ

 まどろむ星は夜を映す
 遠くに浮かぶ街の灯り
 ふと君の影を窓に見つけ
 ぼくは慌てて目を閉じる

  暑い、暑い夜汽車よ
  ぼくを、ぼくを乗せて
  西へ、西へ向かう
  君の、君の元へ

 風よ、ぼくはもうすぐ行くよ
 眠れぬ夜を窓にもたれて
 君のもとへ走る夜汽車よ
 夜が明ければ君のもとへ


今日、プレイヤーズ王国に、『夜汽車』という歌を登録した。
歌詞は、上のとおりである。
これを作ったのは21歳の時だったから、もう25年が経つ。
と、プレイヤーズ王国で書いた『ショートホープ・ブルース』のコメントと同じことを書いたが、実際には『ショートホープ・ブルース』とは10ヶ月くらいの開きがある。
『ショートホープ・ブルース』を作ったのは1978年の晩秋で、この『夜汽車』を作ったのは1979年の初秋だった。
その頃、ぼくは東京にいたのだが、嫌なことばかりが起きていた。
下宿にダニが大発生し背中中を噛まれた事件があり、それから時を置かずして胃けいれんに襲われた。
胃けいれんは1週間続いた。
そのために、アルバイトを休まなければならなくなり、挙げ句の果てにクビになってしまった。
歌舞伎町のパチンコ屋で、置き引きにあったのもこの頃である。
また、後に『西から風が吹いてきたら』のネタ源である一連のN美騒動は、この頃から始まっている。
とにかく嫌なことばかりが続いていた。

そのせいで、望郷の念が強まっていった。
しかしその念は、「東京が嫌いだ」とか「福岡が好きだ」とかで強まっていったわけではなかった。
『西から風が吹いてきたら』の中で、「東京が嫌いだ」というようなことを書いているが、実はそうではなかった。
偶然そういう事件が重なったために居づらくなっただけで、基本的にぼくは東京の水が合っていた。
東京は、実に路地が多いところである。
ぼくの下宿も、路地に面したところにあった。
ぼくは、なぜかそういうところが落ち着くのだ。
言い換えれば、一歩奥に入ればどこも下町という、東京の街の雰囲気が好きだったということになるだろう。

では、なぜ望郷の念が強くなったのかと言えば、今思えば、当時好きだった子への未練からだった。
他に考えられないのだ。
いったんは諦めたつもりだったが、やはり諦めきれない。
故郷を遠く離れたことが、さらにその人の想いを強くしていった。
そして、数々の歌や詩になった。
『夜汽車』も、そういう歌の一つである。


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