前に「ナンバープレースというパズルにハマった」と、この日記に書いたが、なぜああいうものにハマったのかという理由がようやくわかった。
昨日、店の改装のメインがぼくの売場だと書いたが、ぼくの売場が建物のちょうど真ん中に位置しているため、そこを作業場にするというのだ。 処分セールは23日までで、翌日から工事に入る。 当初は閉店した後に1週間ほどかけて、売場を撤去するはずだったのだが、業者の都合で24日の正午までに撤去しなければならなくなった。
それを聞いたのは3月の頭だった。 耳を疑った。 その日の予定は午前9時に集合なので、正午までに撤去となると3時間で作業を終えなければならない。 ぼくの売場だけでも100坪以上はある。 そのスペースに商品や什器がぎっしり詰まっている。 人員は10人程度。 商品を撤去するだけならともかく、什器はバラさなくてはならない。 半年ほど前に一度什器をバラしたことがあるが、それはもう大変だった。 1連の什器をバラすのに、何と2時間を要したのである。 しかも今回は売場全部だから、1連どころではない。 当然「出来るわけないやん」である。
他の男性社員全員からも、「業者を雇うとかせんと、3時間じゃ到底無理」との声が起こった。 そこで店長が本社に掛け合った。 本社からの回答は、「近いうち、業者に見積もりに行ってもらいますから」だった。 「近いうちと言っても、あと3週間しかないのに」 「業者も人員を集められるんか」 「どうせ自分たちは手伝いにこんのやろう」 など、非難ごうごうである。
確かに、あと3週間だ。 このまま業者任せにしても埒があかない。 本社の人間もあてにならない。 店の人は、他の仕事を持っている。 『もういい。人をあてにせん。一人でやってやろうやないか』と思ったぼくは、その日からこつこつと売場を壊している。
当初は「大変だ」と思っていた売場解体作業も、いざやってみると面白い。 倉庫が使えないので、展示してある商品を引っ込めることは出来ない。 しかし、什器は減らさなければならない。 そう、これはパズルである。 商品を減らさずに什器を減らしていく、という実践パズルである。 そのためには、ナンプレのような理詰めで考えるということが要求される。 「この什器を減らすためには、この商品をあの什器に移して…」 「あの什器をこちらに移すのに、一番楽な方法は?」 などとやっている。 また、闇雲に商品を置き換えるだけではだめで、ちゃんと関連性のあるところに収めなくてはならない。 これを考えながらやるところに、この作業のおもしろさがある。
よくよく考えてみると、ぼくが突然ナンプレにハマったのも、わかるような気がする。 それは、運命がぼくにこの売場解体作業させたかったからだ。 そのためには頭を使うことをしなければならない。 きっと運命は『日記ばかり書いている頭じゃだめだ』と思ったので、ぼくの目をナンプレに向けさせたのだろう。
作業は順調で、10日足らずで半分近く終わっている。 しかし、まだ業者は見積もりに来てない。
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