昨日はここ数日の疲れからか早く寝てしまった。 そのせいで、昨日の日記は今朝早く起きて書くことになった。 早く起きたとはいえ、もう空はずいぶん明るくなっていた。 久しぶりに空は曇っていた。 ああじゃない、こうじゃない、と日記を書いている時、午前6時頃だったか、遠くからサイレンの音が聞こえた。 「火事かな」と思っていると、そのサイレンの音がだんだん近くなってきた。 さらに複数のサイレンの音も聞こえてきた。 外は急に騒がしくなっていった。 「どうしたんだろう」と窓の外を見てみると、消防車がぼくの住む団地の横に停まっている。 「もしかしてこの棟か」とぼくは慌てて外に出てみると、ぼくの住む棟の後ろの棟からモクモクと煙が昇っている。 煙の出ているほうに回ってみると、4階の一室の窓から火が噴出して、窓についている鉄柵を溶かしている。
今まで何度か火事を見たことがあるが、こんなに近くで起こったのは初めてだ。 消防車の数は6台、他に救急車が1台、パトカーが1台停まって、道を完全にふさいでいた。 朝早いとはいえ、かなりの人がそこに集まっている。 口ではみな「怖いねえ」などと口走っていたが、ぼくと同じく好奇心のほうが強いのだろう。 しばらくすると、火は止み、煙の出方も少なくなった。 消防署の人が「鎮火に向かっています」と言ったので、野次馬の数も減っていった。 ということで、ぼくも家に戻った。
後でわかったことだが、出火の原因は漏電だということだった。 ぼくの住む団地は一軒当たりのコンセントの数が少ないので、どこの家もタコ足配線をやっている。 それが災いしたのだろう。 もしくはトラッキングか。 最近、トラッキングによる火災が多くなっていると聞く。 何年か前に小倉の老舗大手スーパーが火事を出したことがあるが、その原因はコンセントと冷蔵庫のコンセントプラグの隙間に付着した綿ぼこりだったという。 その頃からトラッキング火災が話題になりだした。 配線を作っているメーカーも、トラッキング防止の商品を数多く出してきたのはその直後からだった。
ぼくはそういう商品を売っているのだが、個人的には持っていない。 パソコンのコンセントは常時挿しっぱなしになっているので、トラッキング防止の商品は必要アイテムなのだが、「まさか、おれが火事出すわけないやん」という思いが先にたち、どうも購入に踏み切れないでいる。 しかし、今回の火事も、漏電が直接の原因ではあるが、その背景には「まさか、おれが・・」というのがあるのは確かである。 そう考えると、一品200円の商品をいつまでもケチっているわけにはいかない。 「お客さん、いつこういう事態になるかもわかりません。買って損はない商品ですよ」 ぼくは自分に、そう言って販売している。 が、このお客は頑固である。
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