親戚から「今日パソコンを購入したので、いろいろ教えてほしい」との連絡があった。 ぼくが教えられることといえば、インターネットのつなぎ方ぐらいしかないが、とりあえず「行ってみよう」と言うことになった。 家に行ってみると、もはやパソコンは設置してあり、電話回線も午前中にNTTの人が来て、つないで帰ったらしい。 「別に教えることはないやん」と思っていると、「『ハリー・ポッターと賢者の石』のCD−ROMが見たいんだけど、“QuickTime Player”がないと見れない、と書いてある。どうにか見れるようにしてくれ」と言う。 それで、それをダウンロードして、インストールした。 ぼくがやった作業としてはそれだけだった。 あとは、メールの送受信の仕方や、検索の仕方などを教えた。
あ、今日はそういう話をするんじゃなかった。 今日の話は、犬の話です。 その家は、ミニダックスを飼っている。 ぼくが親戚の家に着き、その家の玄関の扉を開くと、突然「ワンワン」というご挨拶がきた。 かなり気の弱い犬のようだ。 後ずさりしながら吼えている。 いっときの間、彼はぼくを警戒している様子だった。
その後、ぼくがパソコンの作業を終えた頃に、彼はフォローにやってきた。 尻尾を振り、ぼくの足や股間を嗅ぎまわり、手や顔を舐めてきた。 ぼくが寝転ぶと、この白髪頭まで舐め回していた。 「ぼくの白髪はおいしいんだろうか?」などと思いながら、しばらく彼のしたいようにさせていた。 すると、彼はぼくを気に入ったのか、ぼくが帰るまでぼくのそばから離れようとしなかった。 トイレに行けば、トイレに付いてくる。 何と、トイレをノックまでしている。 「ぼくのどこが気に入ったんだろう?」と思っていると、彼はぼくの手を顎で、自分の体の下に持っていった。 「わかった!トキコさんだ」(エッセイ「トキコさんは48歳」参照) 彼はぼくの腕に前足を巻きつけ、腰を振ろうとしていたのだ。 そこでぼくは、彼の要求を受け入れないことにした。 手を後ろに持っていき、もう片方の手で、頭を軽く叩いてやった。 ぼくに拒否された彼は、寂しそうに自分の股間を舐めていた。
しかし、彼は懲りない。 何度も何度もやってくる。 ぼくが腕で体を支えて座っていると、腕をめがけてやってくる。 ひざを立てて寝ていると、ひざをめがけてやってくる。 そのつどぼくは、腕を引っ込めたり、ひざを伸ばしたりして対応した。 彼は、ぼくに拒否されるたびに、例の股間舐めを始める。 ぼくが帰る間際まで、彼はこの作業を繰り返していた。 そして、ぼくが帰る時彼は、靴を履くぼくの姿を恨めしそうに眺めていた。
ということで、ぼくは今日は犯されずにすんだわけだ。 帰りの車の中で思った。 「あほやのう、犬は」
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