みゆきの日記
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2003年08月11日(月) 経済観念

私の母の父、つまりわたしのおじいちゃんはかなり豪胆な感じのする人だった。
気前がよくて、なんでも買え買えって言ってみんなにおごってあげちゃうようなタイプ。
うちの両親が海外駐在中もしょっちゅう遊びに来ては、
一番高いレストランへ連れて行け、と言われたと父が言っていて、
私たちは祖父の話をしばらくしていた。

やっぱりね、そんな感じだったよねー、と私は言い、
でも、どうしてそんなおじいちゃんを見て育った母がこんなに節約家なんだろうか、と不思議に思った。

うちの両親は、普段つつましい生活をしてコツコツとお金を貯めるタイプで、
無駄づかいなんて絶対しないような感じなのだ。
でもケチケチしている感じではなくて、普段は抑えてできるだけ無駄づかいをしないでいて、
使うべきところでは出し惜しみをしないので、
私は母のお金の使い方がとても上手だなァ、といつも感心しているの。
見習いたいところだわ。
だけど、どうしてそうなったの?

あはは、そんなの結婚してからよ、と母は笑った。
お父さんに教えてもらったの。
私、ほんまに経済観念なかってん。

結婚した当時、しょっちゅう家に訪問販売の販売員が訪ねてきて、
いろんなものを勧められ、いつも買っちゃってたの、と母は笑った。
英会話の教材とかカツラとか・・・。

「えー?カツラ?」

「そう、だってすごく似合うって言わはんねんもん・・・。
 またえらい高いカツラやったわァ。」

「いくらいくら?」

私はワクワクしながら聞く。
だって、賢いと思っていた母にもそんな時代があったなんて。
なんか安心しちゃうじゃない。

「えーとね、たしか4万5千円とか・・・。」

呆然。
父の月収が5万円とか6万円っていう時代の話である。
どこの誰がお給料の半分以上はたいてカツラなんて買うのよ。
今の母からは想像もできない。
ていうか、私だってそんなもの絶対に買わないわ。

「世間知らずやったんやろねェ。
 クーリングオフとかない時代やったけど、お父さんが帰ってきて、
 そんなん、やめときって言われて。
 いっつも次の日に断っててん。」

ふーん、よかったね、断れて。
お父さんに怒られたでしょ。

「ううん、別に。
 やめときって言うだけ。」






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それは返せなかったらしいデス。

だって、そんなん買いに行かれへんと思って・・・だって(笑)。
なんかのんびりした時代だったんだわ。


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