みゆきの日記
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2003年07月03日(木) 妥協点

私は納豆が食べられない。
あの匂いが大嫌いで、同じ食卓に納豆があるのも嫌で息を止めたくなってしまう。
独身の頃は、家族が納豆を食べるたびに文句を言っていたんだけど、
困ったことにトモユキは納豆が大好きで時々食べたがるのだ。

「菜子ちゃんにも納豆食べさせて。お願い。」

小さい頃から納豆を食べて育ったというトモユキは、
離乳食メニューに納豆を加えるべきだと主張していて、
私は、うん、、そうね、なんて曖昧に返事をしていた。

「納豆はからだにいいし、頭もよくなるんだよ。
 俺も昔から納豆食べてたから頭よくなったんだから。」

トモユキは理系で、数学のできる人こそが頭のいい人だと信じている(笑)。
私は数学は大嫌いで数字も苦手なのであまり反論できない。

トモユキが食べたいというのでたまに納豆を入れたオムレツを作ると聞いて、
私の父はすごくびっくりしていた。

「みゆきは、誰かが納豆を食べただけでやめてよーって怒ってたのに、
 納豆オムレツなんか作るのか。
 変わるもんやなぁ。」

「そんなの当たり前ですよ。旦那さまが食べたいって言ったら、
 それくらい作らなきゃ。」

母はそう言って笑ったけど、父は納得いかないって顔をして、

「フーン。変わるもんやなぁ。」

とまた言った。

私は納豆オムレツを作るし、トモユキが同じ食卓で食べても文句を言わないし、
食器だってちゃんと洗うけど、

「みゆちゃんも食べてみなよ。美味しいから。
 ね、一口だけ食べてみて。お願い。」

そう言われても、絶対に食べない。
だけど、菜子には食べさせたほうがいいのかな、、と思い、
重い腰をやっとあげて納豆を取り出した。

やっぱりすごい匂いだなぁ。
こんなの、菜子に食べさせていいのだろうか。
離乳食の本にはちゃんと納豆メニューが載っているから多分いいのだろう。
こまかくすりつぶしてからちょっと多めのだしでのばして、
水溶き片栗粉でとろみをつける。
これでもやっぱりすごい匂い。
おそるおそるスプーンですくって菜子の口にいれると・・・

菜子はこの世のものとも思えない顔をして、それをたらたら口からこぼし、
一部やっと飲み込むと、火がついたように泣き出した。

やっぱりダメじゃない。

いそいで菜子の好きなりんごヨーグルトを別のスプーンですくって口に持っていったけれど、
菜子はのけぞって泣くばかりで食べようとしない。
またあの変なものを食べさせられる、と思うのかしら・・・。

「菜子ちゃん、これ、菜子ちゃんの好きなりんごヨーグルトだってば。
 ほら、りんごちゃんだよー。おいしいよー。
 ベロベロベロベロバー。」

菜子の信用を取り戻そうと私は必死。
あとでこの話を聞いたトモユキはとてもがっかりしていた。

「そうかぁ、ダメだったか。」

「菜子ちゃん、私と一緒で納豆嫌いなんじゃない?」

「そんなことないよ!今度は食べるかもしれないから、
 お願い、また食べさせてみて。ね?」

「うん・・・。」

そうだね。
私は主婦だし母親だから、トモユキと菜子が食べることには協力しなくちゃね。
結婚して他人だった二人が家族になるんだから、いろいろと主張がぶつかり合うこともあるけれど、
なんとか私たちの妥協点を見つけていかなくちゃね。

納豆に関していえば、私はトモユキと菜子に食べさせること、料理をすることはゆずるけれど、
自分が食べないというところはゆずらない。
トモユキも、私に食べさせるということはゆずらなくてはならない。

母乳のこともそうだった。
こんな風に簡単に妥協点が見つかることばかりではないけれど、
家族なんだから、なんとか見つけていかなくちゃなぁ、と思う。

今日書きたかった「妥協点を見つけるべき問題」は、そう簡単ではないんだけど、
ちょっと長くなっちゃったので、明日に続く。


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