行人徒然

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「金魚さん、またね」
2006年01月22日(日)


夏休みの縁日で妹が掬ってきた金魚の具合が悪く、昨日温浴とココア浴を実行することにした。web検索したところでは水温低下による便秘とそれに伴って起こる転覆病を併発している模様。あまり芳しい状態ではない。
しかも昨日から雪。
金魚はあまり水温が下がると死んでしまうらしい。
しかし結局(自分の不手際で)妹の金魚は温浴中に死んでしまい、今日の昼に妹が庭の柿の下へ金魚を埋めた。

「金魚さん、またね」

そう言った妹の横顔と言葉が、とても美しく思えた。
簡単な四字熟語(呉越同舟・四面楚歌というような)も
ことわざ(犬も歩けば棒にあたるさえ)も知らないし、
頭はいいけど風俗や民俗学などは何も知らない子なのだが、
もののあはれを知っている子なのだと思った。
もっともそれを言ったところで
『もののあわれって何』というくらいの妹なのだが・・・

最近は物を哀れむ人も少ないし、それを自分で感じることもほとんどない。
失われていく感覚のひとつなのかとも思っていたが。

やはり、もののあはれは失われてはいけない心意気のひとつだなと思った。
そう思いながら、妹の後で自分もいっしょに手を合わせた。

良かれと思って行ったことだが、結局最悪の結果しか残せなかったわけで、
死んだ金魚にも、礼を言ってくれた妹にも悪かったなと、
罪悪感だけが残った。




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