行人徒然

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烏と桜
2004年04月03日(土)


 実は東京いんるよ。
 R子からそんなメールが来て、ちょっとびっくりした。いつ出てきたんだよー。そんな感じでさ。とりあえず、なんか食おうと言う事に。顔合わせば、いつも食ってんだけどな。
 気候もいいし、花見に行こう。沖縄って桜違うんさ。そんなコトを言いながら、上野公園で花見。この前行った動物園の周辺とか、そんなところをぶらぶらする。途中、交番の上で鳩が枝に絡まってて、逃げられなくなっているところにカラスが襲いかかり、まさに生きながら食われる現場に出くわした。とはいえ、まだまだ鳩は頭が下になっているにもかかわらずそれなりに元気で、羽根をばたつかせてそれを拒否していたのだが・・・・
 カラスは1羽。鳩も1羽。しかし、その木の周りにはたくさんの鳩(もちろん人も)が集まり、事の次第を見守っていた。鳩だって、集団で襲いかかればカラスも追い払えそうなものだが、鳴きもせずに見守っているだけ。烏合の衆とでも言うのだろうか。いや、敵がカラスか。とにかく、何もせずに、同属のほぼ確定した死を眺めるだけなのだ。
 なんかな。
 胸が悪くなった。
 人間も同じなんだよなと思った。
 ま、そんな場所を通り越して、弁天さんや不忍池のあたりを花見しながらうろうろ散歩し、間違えて湯島天神なんか行ったりして、夕方に京さんと合流。夕飯は焼肉です。焼肉といったら、もちろん竹弥見の食べ放題。それから、今度は3人で夜桜見物。
 昼間はかなり葉桜になっていた花も、夜の闇の中で葉っぱは消えて、ぼんやりと薄淡い花が夜をバックに映えている。その向こうには、おぼろ月。これで酒がない、歌がないほうが無粋に感じるほどで。
 というわけで、屋台のオヤジから安い冷酒をもらい、プラスチックの使い捨てコップというような無粋さには目をつむり、花酒にならないかなと期待しつつ飲んでいたのだが、残念ながら深いコップの中には花びらは入らなかった。やっぱり花びらと同じように、薄い杯でないと無理なのかもしれない。
 雑踏と通りすぎる人の声を音の変わりに、桜と、酒と、おぼろ月。不忍池にも浮かぶ月と花。明かりのない桜は、細い月の光では消えてしまうくらい闇に隠され、屋台と電気提灯の明かりに照らされる花は、白くそれ自体が輝いているかのように浮き上がり。
 ああ、幸せだな。
 そう感じながら時間を過ごして、R子とさようならをする。そのあと、京さんと一緒にアイカムに行き、飲み直し。今日は一日飲んだくれなのだった。
 幸せモードで家に帰ってくると、蕨のおじいちゃんとおばあちゃんが来ていた。しかも、起きていた・・・・なんて珍しいんだろう。9時には寝る二人なのに。なんでも、秩父のほうに出かけるので、と言う事らしい。それと、息子の術後の様子も見たかったらしい。明日は早く出かけるそうなので、会えて、少しでも話ができて良かった。




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