朝目が覚めたら8時前だった。昨日の手紙が急に頭をよぎる。 もし良ければ、今月中に一度会ってちゃんと話がしたい。 それは同感だった。 友人である時間を含めてだけど、あたし達の間には10年が経っていて、その大半をうやむやにした時間を整理したいと思っていた。 電話をした。 今日しかもう日は空いてなかった。 土日のどちらかは家にいて、自分の気持ちとかを休ませたい。今日は空いてるけど、日曜はイベント。月曜は空いてる。来週の日曜はイベントで、再来週の土曜日は飲み会。 出来れば日曜は家にいたい。やっぱり今日しか空いてない。 電話に出てきたネギくんは、少し眠そうな声で笑った。 「いいよ。どこ行こうか?」 本当は断ってほしかった。 こんな急に言われても駄目だよと言ってほしい。そうすれば、自分から「会おう」と言うアプローチはしたわけで、その後永遠に会えなくっても互いのスケジュールのせいであって・・・と、逃げを打ちたかったのだ。 水戸に梅を見に行こうとあたしは言った。そんなに遠くまで行けないから今日はやめない?と言ってほしかった。でも、ネギくんは笑っていいよと言った。 初めてあたしは家の前まで車で迎えに来てもらい・・・今までは側のボーリング場とかにしてたのに・・・偕楽園に向かう途中であたし達はいろいろな話をした。 初めてお互いの本音を言いあって、偕楽園につく頃にはギクシャクした雰囲気はなくなってた。 お昼を食べたり、夕飯を食べたり、なんか10年前、友達どうしだった時と同じ時間が流れてた。あの高崎線のボックス席に4人で向き合って、毎日お菓子やジュースをたくさん買い込んで笑って喋って帰ったあの時間。 その後ビリヤードをしに行って、あたし達はずっと笑ってた。Iちゃんやばぼちゃんが、どうしてここにいないんだろうって二人で言ってまた笑った。 帰る直前。 二人でちょっと寄り道をして星を見た。 そう言うロマンチックなネギくんは、そこでまた言いきれなかった本音をぽつぽつ話し出し、あたしも全部残らず話した。 さようならを言う時、やっぱり二人で笑った。 玄関の時計は25時30分を回っていて、あたしは電車が遅れたとき以外ではじめて25時を回ってから家に帰ってきた。オヤジ殿はソルトレイクをみながらずっと起きてあたしを待っていて、あたしの顔を見て言った。 「随分楽しかったみたいだね」 あたしはすごく晴れやかに笑っていたそうだ。 梅はほとんど咲いてなかった。 あたし達はあの頃、この梅のように子供だったんだよね。 はじめて、一緒にいて気が楽だったよ。 本音を言いあったせいだろうね。 でも、もうあんたと一緒になろうとは思わない。 つぅか・・・最初から思った事はないよ。 好きとか嫌いとか、そう言う感情はもうないけど。 きっといい友達に戻れんじゃないかな。 陳腐ないいまわしでいけばさ、友達以上恋人未満ってやつ? うん、それがいいよ。 あんたもそれがいいって言ってたもんね。 ま、これも人生の色気ってやつだ。 いい色になるといいよね。
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