行人徒然

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ひとつの事実を分け合う4つの感情
2001年08月08日(水)

 それが実際上の出来事なのか、それとも想像上の出来事なのか、絵空事か現実か、それは皆さんにお任せするとして。




 夕べ、寂しくて寂しくて死にそうな気持ちだった。あれだ。自分ですぐにわかった。寂しくて、苦しくて、誰かに寄りかからないとどうにかなってしまいそうだった。
 こんなとき、脳裏に浮かぶ男が二人いる。
 一人はいまだに自分を好きだといってくれる人で、自分は好きじゃなかった人。
 もう一人は遊びだと二人で割り切ってたくせに、ほれ込んで自分を捨てていった人。
 電話をかけたくなる。
 声を聞きたくなる。
 癒されたくて、泣きそうになる。
 電話をかけようと取り出した携帯電話。かければ一発で自分とわかってしまうから、馬鹿のように公衆電話からコールする。出てきてくれるのかどきどきしながら、あぁ、まるで純情な小娘のようだねって自分を笑う。
 でない。
 残念な気持ちとほっとした気持ちを抱きながら、電話は切れる。





 俺?俺が話すの?めんどくさいなぁ。
 大体さ、なんでもこういうことを俺から始めようっていうの、嫌だって言ってんだろう?
 電話をするなって何度言えばいいんだよ。好きじゃなかったんだろ?虫がいいとおもわねぇ?向こうの好意に甘えてんだよ。それ以上でも、以下でもないだろ?会えば寝ちまうぜ、お前のことだから。優しすぎて、傷つけられなくて、お互いに絆目あってる女々しい二人なんだからさ。
 俺?
 はははははは・・・・・
 女の子って柔らかくっていいよね。
 あいつはさ、俺がいるせいで物事がよくわかんなくなってるんだよ。この前だって女の子に告白されて、まんざらでもなさそうな顔してたろう?俺はいいけど、あいつにゃちょっと問題があるのにねぇ・・・
 ま、寝とけば。声を聞いて癒されて、なんだか濡れてきたって言うならさ。それでまたこの前みたいに後悔しようと、それは俺の知ったことじゃないね。




 会いたい。
 声を聞くと、悲しい気持ちが癒される。
 暖かい声と。
 あたし、甘えてるよね。
 声を聞いてるときは、いつでも大切な人かなって思うんだけど。
 会いたいなって思うんだけど。
 ・・・・好きなのかな?
 抱かれてもいいって思う。
 むちゃくちゃにされてもいいって思う。
 愛されたい。
 寂しい。
 でも・・・・





 え?次、僕なの?やだやだやだ。こういうこと、僕よくわかんないもん。いいじゃん。あの人の事好きなんでしょ。好きじゃないの?違うの?
 ・・・・・わかんないよ、僕。
 僕?
 僕は好きとか嫌いとか、そういうことはわかんないよ。いっしょにいて楽しいか楽しくないか、それだけ。





 だいぶ変わったよ。
 嘘。変わってない。
 あれからとっても太ったの。
 だってもう何年経ったと思う?
 変わってないよ。
 髪も短いまま。
 わがままで、
 強がりで、
 寂しがりで、
 見栄っ張りで、
 甘ったれで、
 そして。

 ウソツキ。

 こういうことをいえるようになったって所が、あの頃とは少し変わったのかもね。








 駄目っていったじゃん。あたし、何度あんたにそう言ったと思ってるの?あんた、ただ寂しいだけなんだよ。
 甘ったれ。あばずれ。やりたいだけなの?そうとられても仕方ないよ。もてあそんでんの?相手がかわいそうだと思わないの?
 もう知らないよ。
 二人で話し合いたいの?すればいいじゃん。
 車でも、店でもなく、二人で座って話せるところがいいんでしょ?しかも二人っきりで、人の目がないところ。
 自分の言えは親の目があるし、相手の部屋は会社の寮で異性厳禁。そしたらあんた、もうホテルしかないじゃん。やられっちまいな。ばかばかばか。何度言ってもわかんないんだから。
 相手は結婚したいっていってんだよ?あんた会う日、生理前じゃん。流されて、目の前でコンドーム着けられたって、あんたのことだから絶対に明かりはつけないんだろ?突っ込む前に抜かれちゃったり爪で傷つけられたりして計画的に作らされるかもしれないんだよ?
 あんた、それでもいいの?
 そういうヤツじゃないって、誰が信じる根拠をくれんのさ。
 もう・・・ホントに知らないんだから。
 あんただけじゃなくて、あたし達にも迷惑かけるって事、絶対忘れンなよ。







 寂しいよ。
 電話してると、いつも会いたくなるの。
 でも、会うことになるといつも後悔する。
 その日が来ると憂鬱になる。
 あたしはその思いに応えられないから。
 寂しいよ。
 あなたじゃなくてもいいの。
 他に支えてくれる人なら。
 でも、今はあなたしか知らないから。
 だから、あなたなの。
 寂しいよ。
 寂しいよ。
 本音を言って、いつもあなたを傷つける。
 でもあなたはそれでもいいっていうよね。
 いつも怒らないよね。
 自分が悪いって言うよね。
 何であたしを怒ってくれないの?
 あたしが悪いって言ってよ。
 寂しいよ。
 さみしいよ・・・・・
 これが好きってことなの?
 でも、あなたの目を見ると辛いんだもの。
 何もできない自分が。
 あなたにわきあがる、その嫌悪感があるの。
 あなたの私を見るその目が嫌い。
 あなたのことが好きじゃないの。
 弱音ばっかりはいてるあなた。
 あたしはあなたの聖母じゃない。
 ファザコンなあたし。
 叱ってよ。
 怒ってよ。
 お前はわがままだって。
 自分勝手だって。
 そしたら、あなたの私を見る目が好きになるかなぁ。
 優しい、でもちょっと艶を含んだその眼差しが、
 愛してるよの言葉も一緒に、信じることができるのかなぁ・・・・
 さみしいよ・・・・



 でも、あなたのことは、きっと嫌いのまま。
 その日にきっと抱かれて、また自嘲する毎日がくる。
 あなたをもてあそんでいるのかな。



 ・・・・あたしにもわからないよ。



 あたし、いま、きっと、



 コワレテル



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