行人徒然

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職業の貴賎

2001年04月11日(水)

　よくさ、職業に貴賎はありませんって言うじゃん。でも、最近気がついた。貴賎があるのは、職業じゃなくて、その職業についている人。自分がそんなつもりなくても、その職業についている人は「それらしさ」があるし、よくよく観察すれば、その職独特の雰囲気が見えてくる。
　例えば、通訳の人と、土建屋さんを比較してみよう。先に言っておくけど、これはあくまでも今まで会った人を見た「各務の観察」であって、全ての人がそうって言うわけじゃないだろうし、どちらかをけなしたりしてるわけじゃないので念のため。

　通訳の人と食事をとる。なぜか通訳をしている人というのはおしゃれで、洗練された感じ。食事をするにしても、ちょっと子洒落た店なんかに連れて行ってくれたりするし、立ち居振舞いもスマートな人が多い。洋雑誌なんか持って歩いたりしてるし、会話も知的。何となくちょっとインテリっぽいところも手伝って、普通よりちょっと上のランクって感じの人が多かった気がする。
　土建屋さんだけど、いつもペンキや泥のついたボンタンとかシャツ。地下足袋に脚半（オヤジさんの場合ね）。食事は昼間から酒の飲めるような大衆食堂で、食後に爪楊枝で歯をしーしーする。がつがつ食べながら話をするからご飯粒が飛ぶし、話なんて朝から女・パチンコ・マージャン・競馬・ちょっと知的に三面記事。大声なので一緒に歩いているとけっこう恥ずかしい。おまけにどんな混雑の中でもタバコを吸いながら歩き、吸殻は投げ捨て。

　賢明な人なら、もう分かったかもしれない。
　通訳も土建屋さんも、必要な職業だ。特に、土建屋さんがいなければ、家も駅もデパートも建たない。でも。
　土建屋さんにスーツで現場仕事をしろなんていわないけど、泥くらいは払おうや。時間がないからがつがつ食事をするんだろうけど、どうせその後パチンコか昼寝。せめて口にもの無くなってから喋れや。でかい声なのはいいけど、人ごみの中で「昨日、ホステスのねーちゃんがさぁ」はないでしょう。タバコも今更人ごみで吸うなんてマナー違反。
　もちろん、飾らなくていい人たちだし、気楽に付き合えるけど、いっしょにいて恥ずかしいって言うのは自分のレベルよりローステージの人だから。中にはそうじゃない土建屋さんの知り合いもいるけど、あたしの知ってる土建屋さんの９割はこんな感じ。
　つまりさ。
　土建やさんが卑しいんじゃなくて、土建屋さんをしている人たちのイメージが卑しいんだな。
　例外的に、かつて卑しいとされていた身分の人が携わっていたお仕事って言うのがある。これは日本人独特の「穢れ」という意識からでた卑しさなので、残念ながらなんともいえないだろう。一応・・・・・・・とか・・・・・・・とかというように、そのお仕事も知ってるんだけど、一応伏せておこう。

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