行人徒然

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2000年11月15日(水)

 各務の爪は最近長くなっている。特に、両手の親指と中指、左手の薬指の長さは尋常ではなくなってきた。一センチは軽く伸びてるかな?
 時折磨いて形を整えたりしているんだけど、家族には概ね不評です。
 しかし、車内販売員をしていたころはそれだけ伸ばしてれば確実に折れていたし、いろいろあちこちでこすれてそんなに伸びなかったりするのだが、事務員ともなれば爪は勝手に伸びていくようだ。
 その各務の爪。実はマニキュアの残りがこびりついている。
 残りとか、こびりついてるとかいうととても汚らしい表現なのだが、夏コミの時につけたマニキュアを落としてないというのが実状だ。
 左手の親指の、真ん中よりやや上に、かすかに残っているマニキュア。一ミリ四方で3個所固まってついているが、当たり前の事だが小さくなるに連れてはげていく速度も増してきた。
 マニキュアは、24時間以上爪につけておくと、色素などを溶かしている有機溶剤の作用で体に悪影響がでる。わかっていたんだけど、それをとる事が、各務にはできなかったのだ。
 このマニキュアは、夏コミの前日につけた。このマニキュアよりも上に伸びている部分は、今年の夏コミを知っている部分。
 今年の夏コミは、いろいろな意味で各務的に貴重で大切な時間を過ごす事ができた。その貴重な時間を過ごしたという証が、爪の先に残っている。
 気持ちは、どんなに繰り返し反芻してもやがて薄れてなくなってしまうだろう。だが、そのはげかけたマニキュアを見るたびに、あの時のいろいろな時間が嘘ではなかったという事を、各務は知ることができる。
 くだらない感傷だと、相方はそれを笑った。
 そうかもしれないが・・・・
 冬コミの前日も、きっと同じようにマニキュアを塗り、何ヶ月か後に同じ事を考えるであろう各務が、きっとそこにはいる。
 それから、人の爪は半年経ってもまだ切る場所まで達してないという事を各務は知ることができた。
 それだけでも、十分意味があったような気がする。気だけ・・・だけど。




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