行人徒然

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あどるとちるどれん
2000年10月03日(火)

 通称ADと呼ばれる、一般的なあれではない。
 今言おうとしているのは、職場にいるDさんのこと。

 彼は一応私の直属の上司らしい。正確に言えば、派遣先企業での上司。そんなふうに格好つけてても、所長、所長代理、営業(2名)、事務員の計5人しかいない営業所だけどね。
 あたしの位置は、この営業のDさんの部下なんだそうだ。
 しかしこの人、ものすごい。
 機嫌がよければ歌いだす(就業中に、結構大きな声で)。
 機嫌が悪ければでかい声で文句を言う(ただし独り言。でも聞こえるので聞いてるほうもむかつく)。
 物にあたる。
 お調子者。
 お天気屋。
 えらそぶりの知ったかぶり。
 でしゃばり。
 自意識過剰。
 誇大妄想。
 などなど。
 他にもいっぱいあるんだけど、とってもじゃないけど書ききれない。
 自分で指示を出しておきながら、半時間後には内容が変わってたりするなんて日常茶飯事。翌日にもなれば、自分が言ったことなんてきれいに忘れていて、確実に
「言った事と違う」
といって怒る。対抗策として、毎回毎回仕事内容と指示をメモして、
「こうおっしゃっていましたが」
と指示したら、
「メモなんかとってるから間違えるんだよ」
だってさ。
 営業所の人はみんな彼に、できるだけかかわらないようにしてる。接客をしてきたせいか、人の性格って言うのかな?そういうところはピンッと分かるんだよね。
 事務のSさんというおばちゃん(母親と同じ年くらい)は、ようやく女性が営業所にやってきたので大喜び。昼休みは彼女の愚痴で終わります。
 でも、長くいる人の愚痴って、聞いてるだけで営業所内の人物把握に役立つんだよね。彼女の見立てに寄ればDさんは赤ちゃんなんだそうだ。
 Dさんはきっと、マザコンなんだと、あたしは思う。
 家に帰ってぶつぶつ文句言ったり、ちょっと何か言ってると、母親ってわりと
「どうしたの?」
 って聞くじゃない?そういわれてはじめて、子供って
「きいてよぉ。きょうはさぁ・・・」
 って文句とか、嬉しかったこととか言うもんじゃん。彼、それが抜けてないんじゃないかな?
 頬も丸いし、ちょっと凶悪なたとえ方をすれば、中年近い男のキューピーちゃんみたいな顔つき。つまり、子供っぽい顔なんだ。ベビーフェイスじゃなくて、子供の顔つき。
 今日は出かけに
「各務さん、この仕事やっといてくれる?別に今日中だけど、終わらなければ残業すればいいだけだからさ。PC開かなかったら、皆がPC使う仕事終わったらやってくれるんでいいよ」
 なんて言ったのだ。
 しかし、今週は締めなので、誰のPCも開かない。あたし用のPCはまだ来ないし、Dさんは自分のPC触られたくないらしくて使わせてくれない。とうとう彼が5時半に帰ってきても、その仕事はできなかった。すると。
「あのさぁ。皆は締めで明日もPC使うんだからさぁ。ちょっとDに仕事頼まれてるんでPCかしてくださいって言って、仕事するんだよ。分かる?どうせ遊んでたんでしょ、俺がいない時間」
 なんだとぉぉぉぉ?
 皆がしめってことは、皆様の助手の私もいろいろお手伝いで忙しかったんだよぉ!電話なんて、一辺に3本もとったりしてたし。大体PC開かないならそれが終わってからでいいって言ったのお前じゃん!!
 とぶちきれ寸前になったが、すいませんでしたと謝った。
「誰がそのあなたの残業に付き合うの?残業代だって、こっちが負担するんだよ?」
 あんたの財布じゃないだろうがよ。別に帰ってもいいよ。
 そう思ったけど、すいませんともう一回繰り返した。
 Sさんは、ロッカールームでDの態度に切れていた。
 そして二人で決めた。
 Dさんは「あだるとちるどれん」
 大人の振りした、大きな子供。

 どこにもいるよね、こういう大人って。




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