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窓のそと(Diary by 久野那美)
by 久野那美
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■人の話
このところ、役者さんとばかり話している。
出演者の片桐慎和子さんだけでなく、別の役者さんと話す機会も、
たまたまだけどなにかと多くて。

役者の友達が、面白そうな企画を立てていて。
その企画について、私は何も関係ないんだけど、
そのひとは友達でもあるので、ふんふんと話を聞いた。

聞くほどに、面白そうなので、つっこんでいろいろ聞いていたら、
すごく楽しかった。

もう、すっごく楽しかった。

自分が考えたことがない方向からものを考えるのはほんとに面白い。

私は役者ではないので、役者が企画した公演を主催することはあり得ない。公演しようと思うと、自分にできることから始めるしかない。
だからまず台本をつくる。その前に、どんな台本にしようか、考える。
この時点で、なにも手元に材料がないので、なんでもかんでも必要になる。
あればいいなと思うものと、あるかもしれないものと、ないと困るなというものと、なくてもいいなと思うものについて考える。

役者さんが企画する公演は、その順番が全然、違うのだ。
カルチャーショック。なんといっても、役者を探さなくてもいい。
このことがどれほどものすごいことなのか、なぜか彼らには伝わらない。
だって。役者が舞台に立てば、どんな形であれ、公演はできるわけですよ。
すごくないですか?

どんなことするの?
何がやりたいの?

と聞いたけど、「今考えてるところ」と、具体的に何も教えてくれないので、根掘り葉掘り質問してみた。質問すると答えてくれた。

「譲れないものは何?」
「役者が二人以上、舞台にいること。」

「それは、同時に?ばらばらでもいいの?」
「・・・・・同時に立たないって?」
「物語の中で出会わないとか、みんなおんなじ役をやるとか。」
「・・・・それは考えてなかったけど、嫌だなあ。」

「じゃあ、同時に二人以上が舞台に立って一緒にいるんですね。」
「そう。それは重要。」

「台詞は?」
「え?」
「台詞は必要ですか?」
「・・・・・・・・・・台詞は、必要。」
「どうして?」
「言葉で関係を作りたいから・・かな。」

「その台詞はアドリブでもいいの?」
「いや・・・・・・・台詞は自分の言葉ではないっていうことが大事。台本は要る。」

「では質問を変えます。台詞があって、二人以上が同時に舞台の上にいるなら、演劇じゃなくてもいいのですか?」
「・・・・・・・・・・・・・いいのかも。」
「いいの?」
「もしかしたら、飲み会とかでもいいのかも。」
「でも、アドリブはなし、と。台本創って稽古して飲み会する?」
「・え・・・・・・・・・・・」
「誰が何飲んで、どんな打ち明け話して、どこであてを追加して、だれの話が滑って、誰がつぶれて・・とか全部決まってる飲み会。」
「・・それは・・・・・・・・ありかも。」


では、飲み会のことも候補にいれつつ、もう少し質問を続けましょう。


関係ない私は、どんどん、勝手に話をすすめていく。
知りたいことは、ふたつ。

絶対に動かせないものは何?
動かせるものは何?


お芝居は、フィクションだけど、小説と違って物理的な制約が確実にある。
でも、映画なんかとは違って、物理的な制約は、やりかた次第でほとんどの場合、超えることもできる。なんでもやり方次第。できるかもしれないことは、じゃんじゃんやり方を考えて、最後に残ったどうしようもないものを、それがそうであるのが最高に素敵なように全体を構成する。それが楽しい。
演劇ってそれが楽しいんだと思ってる。

私は関係ないんだけど、もはや友達の話を聞いてるモードは飛んでしまい、誰の企画について話してるのかわからなくなってきた。(ごめんなさい。)

いろいろ考えてるところ、とそのひとが言うので、
じゃあ、とりあえず、今、

絶対に動かせないものはそれが固定していることが面白い方法を考えよう。
動かせるものは、それが流動的であることが面白い方法を考えよう。


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11月15日(火)
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