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窓のそと(Diary by 久野那美)
by 久野那美
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■世界はこんな風に見えてなかった
この間、作演出家のIさんと話した。
彼女は、
「作品を書くっていうことは、自分には世界がこんな風にみえてるんだ。って確認することですよね。」
と言った。
私は反射的に言い返してしまった。
「私は、自分には世界はこんな風に見えてなかったんだ。って確認することだと思ってるけど。」
うまくつたわらなかったし、私もひどく間違った言葉づかいをしたと思う。
でも、きのう、別のひと(このひとは役者)と話していて、また同じような話になって、もう少しだけ言葉を足せたような気がして。でもやっぱりうまく伝わらなかったような気がして。でも、自分がそう思っていることは改めて確認できたような気がして。ちょっと日記に書いてみる。
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創るということは、「それまで世界に存在しなかったものを存在させる」っていうことだと思ってる。それまで存在しなかったものが存在する世界では、それが創られる以前の価値観や世界観は通用しない。世界も変わるし、自分自身(だと思ってるもの)も変わる。それが楽しい。
自分の中に今あるものは、これから創るものの材料にはならない。
自分の中に今あるものは、創りたい世界に今足りないものの手がかりになるだけだ。その手掛かりはとても重要なので、自分のことをまず、考える必要はある。でも、足りないもののほうが多い状態じゃなければ、わざわざ新しく創る必要があるだろうかと思うのだ。ほんの少し足りないだけなら、ちょっと修理すればいいじゃないか。足りないものが何もないなら、今ある材料を理想的な形に並べ替えればいじゃないか。
自分の中に今あるものを確認して、「この材料でできる最高のものはなんだろう」と考えてしまうことはとても、怖い。創らなくても最初からあるものばかり創ってしまう。創らなくてもいい最高のもの。
私はそれがいちばん怖い。
面白くないものを作るより、怖い。
なんでだかわからないし、こういうことで損なうものがあることはわかってるけど、まだうまく答えが出せない。
気持ちの持ち方の問題なのか?
そうだとしたら、気持ちの持ち方は常に確認していたい。
こんな感じで何か伝わりますか > Oさん。
11月13日(日)
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