ID:94793
窓のそと(Diary by 久野那美)
by 久野那美
[38119hit]

■忘年会?お疲れ会?お祝い会?
山添さんが空気を見て、
「せっかくなんで、いろいろ頼んでシェアしませんか?」
と提案してくださり。

結局、カレーを二つ頼んで、各自がナンを1つずつ選びました。
私はふつうのナン。
大石さんはガーリックナン。
田中さんはチーズナン。
出井さんはバターナン。
山添さんは・・・長い名前のおいしそうなナン。

遅れて出井さんと片桐さんが参加・・・という具合にはじまったお疲れ会でしたが、演劇以外のところにむしろ共通の話題が多くて楽しかったです。
共通の話題でも言ってること全然ちがってたり、全然違う作品作ってるふたりが同じ小説家のファンだったり。長年の親友が同じ話しても面白くないかもしれませんが、こんなふうに知り合って、こんな風に話せるのってなんだか幸せです。

また改めて詳しく書きますが。

私はこの3組のお芝居がどれも好きでした。
正確にいうと、お芝居はよくわからない部分もあったのですが、
作っているひとたちがとても素敵に見えました。
異常にマイペースなひとたちでした。
そして、自分の作品と自分以外のひとたちのことを、とてもとても注意深く気に掛けるひとたちでした。

たった二日間仕込みからリハ、本番、バラシ、と一緒にいただけですが、創作のもっとも濃い時間を共有するのではなくただ単に真横で見ている関係でした。とても面白かった。誰もが常に何かを考えていて、自分に今できることはなにかと考えていて、時間がないので、考える端から選択して実行に移していく。私とは全く関係のないものをもっとも大事なものと考えてすべてをそれに注いでいるひとをただ単に横で見ているという貴重な経験をしました。私の見ている前で、私には何の関係もない大切なものが大切に大切にされて変化していきました。それは私には何の関係もない出来事なのでした。
片桐さんも、それにわくわくしていました。彼女は仕込みのときからそのことを繰り返しつぶやいていました。

図ったり調整したりする必要もないほど距離のあるものとすれ違う瞬間ってぞくぞくするほど幸せだったりします。

出井さんが、私に、
「久野さんが合評会で言ってた、大きな出会いをしたからと言って、ひとは別に変わらなくてもいいと思っている、という話が私はとても気になっています。」
と言いました。

そう、言いました。そんなことを。
ライトが眩しいのと、緊張していたのとでほとんど記憶がないのですが、
「月と出会った後、彼女にはどんな変化があったのかよくわからないのですが・・」というような質問があったので、それに答えたのです。

重要な出会いがあったからといって、人は変わらなくていいと私は思っています。かなりしっかりとそう思っています。そう思わない人にはあまり快くない作品を、おそらく作っています。誰かと誰かが出会った。そしてすれ違って別の方向へ歩いて行った。という物語が基本的には大好きです。出会ったくらいで変わりません。出会うたびに変わっていたら、出会うのが面倒になったり疲れたりするかもしれませんし、そもそも、前と後でみんなが変わってしまったら、いったい誰が誰に会ったのか誰にもわからなくなってしまうような気がします。変わらない方がいいと思ってるわけではありません。
出会うのは一瞬ですけど、会った、ということはずうっと続くことのような気がしています。だから、変わるのはいつでもいいんです。

月に会った日。もし彼女の中で何か変わったのだとしたら、それは食パン工場の話を聞いたことについての何かじゃないかと思います。それは月とは何も関係ないです。

その夜、月と会ったことでいつか彼女の中で何かが変わることがあるかもしれません。そしてそのときは、別の誰かに会っていたり、別の何かをしていたりするのだと思います。物語が生まれる時と完結する時は遠くにあっても全然かまわないと思うのです。遠ければ遠いほど、大きな物語になります。


          *******
なんの日記なのか、どころか、いつの日記なのかもわからなくなってきたので、この辺で終わります。


[5]続きを読む

12月13日(火)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る