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窓のそと(Diary by 久野那美)
by 久野那美
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■作品に対して感想を言うこと
中高校生の頃の模擬試験での作文や感想文のことを思い出す。答案が返されるのがショックだった。いつもとんでもない点数だったから。(ほとんど0に近かった。)。書き上げた時はすごく得意で、「もしかして最高点かも。」とほくほくしていたのに。(つまり、とても自信があった)
その作文にはいつも、
「課題と関係ないことを書かないこと。」と朱書きされていた。

そんなはずはなかった。関係ないことなんか書けるわけないじゃないかと思っていた。それとそれが関係あるということがすなわち私なのであって、私が書いてる以上関係はあるはずなのだ。べつに奇を衒ったわけではなく、○○について書けと書いてあるからふつうに○○について書いたのだ。

当時はとても理不尽で納得がいかなかったけど、今では腑に落ちている。私はそれについて書こうとしたけれど、結果的にそれについて書くことはできなかったのだ。そういうことは、あるのだ。
何かについて考えようとしたからといって、必ずしもその何かについて語れるとは限らないのだ。いや、実際にその何かについて考えているのかどうかさえ、わからないのだ。そして、結局自分が何について語れたのか何について語れなかったのかということは、自分では判断つかないものなのだ。

いや、自分でちゃんと判断つくのだろうなと思えるひともいる。
なので、これはもう、生まれついての能力の問題なのかもしれない。

何かについて語ること、的確な感想を述べたり批評したりということは、私にはとてもとても難しいことに思える。そしてそれは、私が自分のことしか考えられないということと、関係があるような気がしている。

・・・・・う〜ん。うまく言葉にならない。

でも、なんとかここまで考えたから、この日記は残しておこう。


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きのう、あるお芝居を見て、帰る前に知人に会った。
事情があって、そのお芝居に関しては、見た後に何らか意見や感想を言う必要があったので、心の準備をして行った。なので、出演者に感想を言うときには、そう、ひどいことにはならなかった(と思う。)

それを終えて、すっかり無防備になっていたところに、会ってしまった。
「どうでした?」と聞かれて、思わず、

「<舞台に三人いる>感じってすごくいらいらしますね。あれから自由になるにはどうしたらいいんでしょうね。」
と言ってしまった。言ってから、

「このお芝居に対する感想じゃないと思いますけど。」と言い訳した。そのひとはその作品の創り手ではなかったし、若いけどできたひとだったので、「う〜ん。三人、ね。なんでしょうね。」と話を合わせてくれたけど、もし出演者だったら、こんなこと言われたら困っただろうなあと思った。

05月11日(金)
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