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きゅっ。
by きゅっ。
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■愛と平和のインフレ・デフレ
これは、法学部出身なのに経済学にハマッテしまったある入院患者のボヤキである。
インフレーション。
インフレーション(インフレ)とは、平たく言うと、『物の価格が全般的に上昇すること』となる。インフレにもいろんな種類があるんだけど、大まかにコストプッシュインフレとディマンドプルインフレに分けられる。
コストプッシュインフレは、生産コストの上昇によるインフレのことをいう。現在、原油の国際価格が上昇し、ガソリンなど石油関連製品をはじめ、工業製品、農作物、さらには輸入穀物、その関連製品すべてが価格上昇傾向にあり、日本経済は、インフレ状態にあるといえる。このように、原材料価格の上昇や、そのほかには労働市場のひっ迫による賃金上昇など、生産費用が上昇すると、企業は商品価格値上げをせざるを得なくなる。このプロセスで起こるインフレがコストプッシュインフレ。
これに対し、ディマンドプルインフレは、需要の増加により製品供給がひっ迫したときに起こるインフレのことをいう。景気が過熱して多くの消費者がより多くの物を求めたときに、企業の生産が追いつかないと、市場では物不足の状況になる。このため、市場では需給バランスが保たれるところまで物の価格が上昇することになる。このプロセスで起こるインフレがディマンドプルインフレ。
インフレになると、どんな影響があるのか?
企業は、貨幣価値の減少で担保となる資産価値が減少する。融資は受けにくくなるってことになる。設備投資は冷え込むことになる。
家計に対しては、貨幣価値の低下から資産の目減りが起こる。物の値段上昇により実質所得の減少が起こる。
政府は、急激なインフレを避けるために、金利を引き上げる。この金利の引き上げは、ローンで家や車などを購入しようとする家計にはデメリットになる。
この結果、通常、インフレ下では、家計の経済活動にブレーキがかかり、消費は衰退するはず。そして、インフレは終息へ向かうはず。
…なんだけど、
財政赤字が厳しい、今の日本国や地方公共団体にとって、いわゆる『インフレ対策』はしない方が、財政赤字の解消のためには都合がいいんだ。だって、既発の国債価格の価値が減少するということは、国の負債が減るとも言えるから。インフレになると、名目上、数字上の税収は必ず上がるし。
中央銀行は貨幣価値の低下を招くインフレは抑えたいだろう。でも、土建政治家は、そんなことより、負債が減ったり、税収が増えたりして、財政赤字が解消されることによって、公共事業発注のための国債の発行余力を残しておきたいだろうから、インフレは見過ごす。実際、竹中ヘイゾウは緩やかなインフレを主張していたしね。
インフレといえば、対になる言葉としてデフレ(デフレーション)。
40代以上にとっては、1970年代のオイルショックのインフレの方が馴染みがあるだろう。だけど、20代〜30代にとっては、ポスト・バブルの資産デフレの影響をモロに就職氷河期で被っているだろうから、デフレの方が馴染んでいるかもね。
デフレとは、物の価格が全般的に下落することを意味する。
物の値段が下がることは、消費者側から見れば悪くなさそうなんだけど、デフレという事象はそうということだけを言えない。それは、単に物価が下がるほかに、消費力の低下が元にあって、経済に深刻な打撃を与えるものだからなんだ。
過剰生産によって市場に物が余るようになると、企業は過剰在庫を調整するために価格を下げるわけだ。バーゲンのことね。安くして原価を割ってでも売っといて少しでも費用回収したいから。
そうすると、次には企業は、生産量調整と収益力確保の観点から、賃金の削減や労働者の解雇、採用の抑制など、固定費用の中でも特に人件費の圧縮を図ろうとするんだ。リストラや就職氷河期という現象が、この約20年弱の間、続いていたわけだ。その結果、消費マインドは、消費者所得の減少から当然冷え込み、消費力の低下が更なる物価の下落を招いてしまう。
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07月29日(火)
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