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きゅっ。
by きゅっ。
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■鏡に写った自分の姿
念願だった今年初のお風呂(シャワー)に、本日入ることができた。もう凄く嬉しくて。この日の為に、浴槽を泡泡にするバスソルトなんか用意してさ。ウキウキして脱衣所に入った。

今日は、男性がデカイ方のお風呂の日。普通の浴槽のほか身体障害者用の特浴設備が整っていて、エアコン暖房があり、エアコン連動の遠赤ヒーターがぶら下がっている。衛生面から一人ずつしか入らないので、とっても贅沢な空間になる。

何しろ今年初の風呂だから、嬉しくて嬉しくて。

だけど、病衣を脱いでイザってときに、見てはならないものを見てしまった。

それは、脱衣所にあった全身を写し出す鏡。

そこに写し出されているのは、紛れもなく俺自身の裸体のはず…なんだけど、現実を受け止めるまで、しばらく思考停止状態に陥った。そこに写し出されていた裸体を、自分自身だと受け止められなかった。

自然と涙が溢れてきた。

声にならない声が漏れた。

今朝の体重は、51.7kg。元々の体重は、68kg。数字は理解していたつもりだった。病衣から覗く腕や脚が細くなったとは思っていた。だけど、全身を写し出され、現実を突き付けられると、もう、耐えられなかった。一人、裸のまま涙が床にボロボロ落ちた。

しばらくして、鏡の中のみすぼらしい自分自身をもう一度見つめた。

そして、こう思った。ここまでの身体になるまで、よくやったな。よく生きてこれたな。生きていたから、この姿を自分で見ることができたんだなって。

ここからがスタートになるのか、あるいは、もっと筋肉が落ちた状態からがスタートになるのか、よく分からない。元の身体に戻すのは、年齢から考えても並み大抵の努力じゃ無理だろう。

だけど、現実を受け止め、究極の医療行為で命を繋いでもらったことに感謝し、一歩、いや半歩ずつ、前に進んでいこうと思う。





03月21日(金)
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