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ゆれるゆれる
by てんのー
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■内田百フ『第二阿房列車』 / いくさをしく・広島
久しぶりの大雨でお休み。

さすがにどこにも行きませんでした。
愛媛弁では、「どこも行かずよー」。

今日読んだ本
内田百フ『第二阿房列車』。

『第一〜』も『第三〜』も出ているのに、手をつけるのは第二から。

「本屋に並んでいたのがたまたま第二であったというだけのことである。特に理由があるわけではない。」
なんて。

これからその話をすると云っても、往復何の事故も椿事もなく、汽車が走ったから遠くまで行き着き、又こっちへ走ったから、それに乗っていた私が帰ってきただけの事で、面白い話の種なんかない。それをこれから、ゆっくり話そうと思う。抑(そもそ)も、話が面白いなぞと云うのが余計なことであって、何でもないに越した事はない。どうせ日は永いし、先を急ぐには及ばない。今のところ私は、差し当たって外に用事はない。ゆっくりしているから、ゆっくり話す。読者の方が忙しいか、忙しくないか、それは私の知った事ではない。
「春光山陽特別阿房列車」

この人の眼鏡で、列車に乗ってあちこちまわってみたいものだと、つくづく思う。


巻末に載っている「鉄道唱歌」より抜粋。
(「鉄道唱歌第二集 山陽、九州」十六〜二二)

***

 糸崎三原海田市 すぎて今つく広島は
 城のかたちもそのままに 今は師団をおかれたり

 日清戦争はじまりて かたじけなくも大君の
 御旗を進めたまいたる 大本営のありし土地

 北には[食堯]津(にぎつ)の公園地 西には宇品の新港
 内海波も静かなり 呉軍港は近くして

 己斐の松原五日市 いつしか過ぎて厳島
 鳥居を前に眺めやる 宮島駅につきにけり

 汽笛ならして客を待つ 汽船に乗れば十五分
 早くもここぞ市杵島(いちきしま) 姫のまします宮どころ

 海にいでたる廻廊の 板に浮べてさす汐に
 うつる燈籠の火の影は 星か蛍か漁火(いさりび)か

 毛利元就この島に 城をかまえて君の敵
 陶晴賢を誅せしは のこす武臣の鑑なり

***

戦争以前の広島というのは、巧妙に隠されているからねえ。

ちなみに、ご当地トリビアネタになるとかならず出てくるのが、
「広島は一時期、日本の首都だった」。

なんかこんなこと言ってる時点で、すでにしょぼい感じが漂うわけですが。

日清戦争が始まったとき、東京からの線路は広島が最西端。
突貫工事で広島駅から宇品の港までの線路が敷かれ、宇品港(今の広島港)から兵士が戦地に送り出されていった。

広島には大本営が置かれ、帝国議会も広島で開かれ、明治天皇(最高司令官)も行宮で指揮した。

とまあ、これが根拠で。
東京を首都とする、という法的根拠が未だにない以上、これだけ首都機能がそろえばそりゃあ首都っていってもいいだろうけどね。

このとき以外、国会が東京を離れたことはないらしい。

ところで、「蛍の光」の3番、4番って知ってます?
大日本帝国ばんざい。
戦後の卒業式でもこの歌が生き残ったのは、きっと何かあるんだろうなあ。
教育界の保守派もばんざい。

***

 蛍の光 窓の雪
 書(ふみ)よむ月日重ねつつ
 いつしか年もすぎのとを
 あけてぞ今朝は別れゆく

 とまるもゆくも限りとて
 かたみにおもふ ちよろづの
 こころのはしを人ごとに
 幸(さき)くとばかり うたふなり

 筑紫のきはみ みちのおく
 海山とほく へだつとも
 そのまごころは へだてなく
 ひとつに尽くせ 国のため

 台湾のはても 樺太も
 やしまのうちの守りなり
 いたらん国にいくさをしく
 つとめよわがせ つつがなく
06月11日(金)
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