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ゆれるゆれる
by てんのー
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■桜の季節、白線流し
庭の桜がまずいことになっている。
桜のある家、なんてすごそうだけど、こんなぺらぺらの庭にこんな桜があるほうがおかしいのだ。10年ぐらい前にどっかでもらってきた苗木を、深く考えもせずに植えてみたらみるみるうちに大きくなって、いまでは2階の屋根より巨大になってしまった。このままだと塀を破って根っこが道路を壊しちゃうらしいんだが、抜いて移植しようにももう複雑にからまってしまって、切るしかないらしい。
まずいのはそのことではなくて、もっと切迫している。
毛虫が大発生中である。
ぼとぼと降ってくる、玄関に入る途中にぐにゅりと踏み潰してしまう、などは、嫌だけどかわいらしいもんである。
こいつら、桜の葉っぱをぜーんぶ食い尽くしてしまった。
おかげで連日の真夏日のなか、この木1本だけ真冬みたいになっている。
なにがいけないかというと、木陰がまるっきりなくなってしまったのだ。これを書いているパソコンも、庭に面した窓際にあるんだが、昼間などカーテンを閉めないとまるで近づけない。
マッチ棒みたいな黒い毛虫たちを見ていると、因果応報だのう・・・と苦く苦く思う。
今年は家族が妙に怒ってしまって、毎年5、6月ごろ玄関に巣をかけていたツバメを執念深く追い払ってしまったことがあった。
巣から転げ落ちて死んだヒナを、母が夜中に踏んづけてしまったのがそもそもの始まりらしい。
それでも一ヶ月ぐらい、こりずに巣を作ろうとしていたツバメだが、とうとうダメなままどこかへ行ってしまった。
思えばツバメ一家が、毛虫とりをやっていてくれたのだ。えさが豊富にあるからこそ、毎年来てくれていたのだろう。
ツバメのたたりである。
桜を植えてから、4月にこの家にいたことがないので、まだ満開を見たことがないのだが、来年はどうだろうか。
若ハゲにしか見えない無残な桜を見上げてみた。
来年の4月にも、ここで桜を見上げているだろうか。
白線流しをね。見逃すはずもないです。
感情移入・・・というより、無理やりにでも感情移入しようとしている自分に驚いた。
彼らとは何かがかぶっていて、何かがかぶっていない。
そう思った人は、けっこういるだろうと思う。
もちろんフィクションで、大人の作り物の「商品」なんだということは承知している。
でも、「彼ら」は確かに、生きているんだと思う。
役柄として、でなく、長瀬智也や酒井美紀として、でなく。
東京とか、松本に、生きているんだと思う。
そういうことがわかっているから、けっこう陳腐だった演出とかも気にせず、画面に見入っていられるんだと思う。
時間というものについて少しだけ考えてみる。
そして果てしのない自己嫌悪。
自己嫌悪してるだけじゃ前に進まない、って、自分に言い聞かせてる自分を嫌悪。
09月06日(土)
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