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ゆれるゆれる
by てんのー
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■堕落する堕落論。
さっきひさしぶりに坂口安吾の『堕落論』を読み返した。
なんだか可哀想なおじさんで、同情してしまう。
40過ぎてから、寒いギャグひとつ書かずくそまじめに青春だとか日本文化とかの「論」を展開するなんて、確かにそのへんのおっさんとは違うだろうが、かわいそうに、「永遠の青年」のまま死んでしまったのだろう。
とことん、常識に毒された「大人」になることを拒否した坂口の姿は、一つの答えにはなっているかもしれないけれど、おかげさまで、未成熟のままでいるということがどんなに情けなく、他人には不快な存在に映るかということがよくわかる。
坂口は精神と肉体、というテーマにこだわった。気付けよ、精神を置き去りにして、肉体が古びていく醜さに。言葉ばかりもてあそんで、言っていることはガキの論理でしかない。
戦後の出発点(標題作の「堕落論」は昭和21年)に、みつかるのはガキの論理ばかり。こんなエッセーで一躍、旗手として注目されたというのがすごい。
だいたい憲法制定でもそうだし、現代かなづかいも、安保論議も、はじめっから目先しか見ていないレベルの低い意見が多くて、このへんの論争とか、今から見るとあぜんとする。
いまでも、『堕落論』はけっこう読まれているけど、まさに50年かけて“白痴”にでもなってたんじゃないの、日本のワコウド。
当時は『堕落論』さえもなかったんだからいいとして、いいかげん新しい『堕落論』が出てこないとおかしいわけで。
人間は堕落するもんだ、とことん堕落してみろよ、
っていうまともな感覚さえも、なくなってきている感じさえする。閉塞感とも違うけれど、やっぱり保守的になってきてるんだろうなあ。
まともって何だよ。ね。
いつも12時までには更新しようと思うんだけど、どうしても書いてるうちに1時ぐらいになっちゃう。早い時間に来てくれるみなさん、ごめんなさいね。たいしたこと書いてるわけじゃないのに。
05月29日(木)
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