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ゆれるゆれる
by てんのー
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■千葉県成田市
日曜日の午前7時半、新宿歌舞伎町。
まるで悪くない場面設定だ。気温5度。悪くない。左官屋がやってきて青色のペンキで昨夜のごたごたをぺったりと生き埋めにしたみたいな、そんな肌寒い快晴だ。
ひとりですたすたと歩いていく。歩いているのはカップルと飲み明かし組。寝ているのはホームレス。それを見ているのは毒々しく着飾ったおばさん。彼女の見つめ方がアジア的なのに心を動かされる。こうして力いっぱい見つめていれば、きっとこの不潔で見苦しい浮浪者たちが美しい日本から消えてなくなるだろうと信じているかのような――。僕は僕で、こんな東京の美しい冬の朝に、圧倒される思いでいる。
最後の朝が明けた。マンガ喫茶のインターネット個室を這い出てから、そこがいかにもふさわしい宿だった気がして、また来ようなと振り返ってしまった。
成田で? 前回と同じように、和幸でとんかつを食べるほかに用事も思いつかず、きわめて静かに、非常に無駄な時間のかけ方をして、冬から夏へ引っ越した。午前中に空港に入り、夜9時半にうちに着くなんて、無駄だろう。その間も、まったく何もしないのだ。あ、斎藤美奈子『妊娠小説』を読了。ついでに残りわずかだった金子光晴『ねむれ巴里』も読了した。この二つをつなぐキーワードは「病理」である。
うそだよ。どっちもおもしろいんだけどそれはうそ。
02月09日(日)
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