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今日の私
by かずき
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■『モーツァルト!』(マチネ・井上ヴォルフ版)
[場所]帝国劇場
[座席]G列42番
[時間]1幕85分 休憩25分 2幕95分
[出演]
 ヴォルフガング:井上芳雄、アマデ:真嶋 優
 コンスタンツェ:hiro、ナンネール:高橋由美子
 ヴァルトシュテッテン男爵夫人:涼風真世
 コロレド大司教:山口祐一郎
 レオポルト:市村正親、セシリア・ウェーバー:阿知波悟美
 アルコ伯爵:武岡淳一、エマヌエル・シカネーダー:吉野圭吾
 池田 紳一、大谷 美智浩、小原 和彦、片根 暢宏、KENTARO、
 島田 邦人、砂川 直人、高原 紳輔、武内 耕、谷口 浩久、
 中山 昇、松澤 重雄、森田 浩平、横沢 健司、横田 大明
 秋園 美緒、石田 佳名子、碓氷 マキ、樺島 麻美、河合 篤子、
 後藤 藍、鈴木 智香子、徳垣 友子、鳥居 ひとみ、中山 旦子、
 松崎 茉莉杏、やまぐち あきこ
[演出]小池修一郎
[脚本・歌詞]ミヒャエル・クンツェ
[音楽]シルヴェスター・リーヴァイ
[指揮]西野 淳


<感想>
よかったぁぁぁ!
まさに「私の子は天才だ。天才は感じやすいものだ」だった。
あらゆることを感じすぎて、影響受けて引きずられすぎるが故に、
意識して生活を律さなければならないはずだった天才。
特に市村レオポルトがね、信じられないほどパパになっていて、
深く深く愛していることが伝わってくるだけに、
彼の行動一つ一つがヴォルフに与える影響が痛すぎて。

これほどまでに感じやすい器に、神の力は強すぎて、
人間としては生き永らえることはできなかったけれど、
けれど、この感じやすさがなければ、
神の音楽をそのまま譜面にすることはできなかったろうとも思う。
なんて不条理な、なんて残酷な神からの贈り物。

だから、アマデがきちんと冷酷だったのも嬉しかったな〜。
前回の誰だったか名前忘れたけれど、女の子アマデが、
可愛くって、表情豊かにヴォルフと遊んでいたりして、
えええ〜?!という感じがしていたので。
それでも、中川ヴォルフとだと合うのですが、
井上ヴォルフだと、これはどうなんだ?と思っていたので、
今回、冷酷なアマデと完成した井上ヴォルフの組み合わせが
観られたこと、最高に嬉しかったです。
でも、このアマデ、中川ヴォルフとは合わないだろうな(^^;;
今回、観られる予定がないので分かりませんが、多分。

何となくね、中川ヴォルフは、楽しんでるんですよ、才能を。
でも、井上ヴォルフは、苦しんでいるときも結構多い。
自分とモーツァルトを比べるなんて畏れ多いけれど、
時々、私、今現在の自分の状況を、
頭の中で言葉にしてしまっていることがあって。
舞台を観ているときに感想を言葉にしてしまっていることが
多いんですけど、それって、便利だし嬉しいけれど、
時々、素直に感じていないみたいで、すごく苦痛。
感情と言葉は違う。言葉にした時点で、何かが変わっている。
でも、無意識に、頭は既に言葉に変換し始めてしまっている。
悲しいのに、悲しんでいないみたいな気分。

頭の中で勝手にアマデが作曲しているのって、
もしかするときっと、それの、ものすっごく強力版なんだろう。
でも、それが苦しみであると同時に誇りでもあったから、
それが遠ざかり、「自分の力で」と言われて音楽を書くときは、
ものすごい絶望と苦しみが襲ってくるだろうと思う。

そんなものない方が、人としては絶対に幸せだろうと、
コロレド辺りは、理解しつつも憧れ嫉妬して止まないし、
父は、それでも何とか幸せをつかんでほしいと望んで止まない。
(多分、自分を律して、音楽家として成功する以外、人間として
それなりに幸せな道はなかっただろうと、私も今回は感じました)
ナンネールは、嫉妬と愛情の二律背反が強すぎるから、
もしかすると理解できたのは、彼の最期の後なのかなぁ・・・。
男爵夫人は、今回、何も分かりませんでした。
人間にしたいのか象徴にしたいのか、何を考えてるのか。
大体、存在感なさすぎて、時々忘れてたし(苦笑)
香寿さんの時期に観たかったなぁ・・・。それだけは残念。


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12月15日(土)
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