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今日の私
by かずき
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■『アルジャーノンに花束を』
特にニーマーは、ほぼ絶滅種のような、どこを切っても悪役。
もしかするとチャーリィから見ればそうだったかもしれないけれど、
この話って、主役に感情移入するよりは、外からの視点で、
感じるものだという気がするので、あまり現実にはいそうにない
人物像が、気持ち悪くてムズムズしてしまいました。
宮川さんも戸井さんもハマってしまっているだけに、特に。
ちなみにバートは、役者の年齢的には合っているはずですが、
異様に若く見えて違和感ありました。演技ではフォロー効かず。
歌は、上手なのか下手なのか・・・。曲によって差がありすぎ。

その音楽。1幕後半のキニアン先生のソロが顕著でしたが、
30〜40年前の懐メロのような古臭いフレーズが多く感じて。
もちろん、妙に洗練されたり今どき風であっては困るのですが、
「日本の」懐かしの歌謡曲と感じる曲が多いのが、非常に嫌。
全くそんな雰囲気を感じさせず、場に似合った曲もあるのに、
どうしてこう、落差が激しかったのでしょう?2幕に全員で歌う
♪ウォレン・レクイエムなんて、すごく切実で好きなのに。

女性陣は、何役も演じているせいもあると思うけれど、
実はキニアン先生以外、ほとんど区別つかなかったのが残念。
多分1人、すごく宝塚メイクが濃い人がいるなと思った程度で。
安寿アリス・キニアンは、アリスというよりキニアン先生でしょうか。
チャーリィを男として見ている印象は、最後までなかったと思う。
けれど、人間としての彼に非常に惹かれている部分と、
教師として後悔にさいなまれている部分がバランスよかった。
最初から最後まで、チャーリィに対して憧憬のようなものが
あったのかな・・・、と思わされたところが好きでした。
浦井チャーリィには、そう思わせるだけのものがあったし。

とにかく、2個も3個も4個も、
不満を挙げていったら実は切りがないかもとは思うのですが、
不満があってもなお、いい舞台だったなあという印象です。
観終えた今は、この満足の相当割合が原作の力だと思うのですが、
原作の良さにミュージカルならではの表現方法を加えて、
より訴えやすく、分かりやすいものにした功績は大きいと思う。
エンディングの美しさまで、心に残る舞台でした。

02月25日(土)
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