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たむけん日記
by たむけん
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■【北朝鮮拉致家族の帰国】
昨日、小泉首相が訪朝し、拉致家族の5人が帰国した。小泉首相は、金総書記との会談において、10名の安否不明者の再調査を約束させ、日朝平壌宣言の誠実な履行を確認するとともに国交正常化交渉再開することで合意し、更に、日本からの人道援助を再開することとしたという。
5人の帰国については心から喜びたい。そして、無事帰国した子供たちが今後、日本において平穏な人生を過ごせることを願っている。しかしながら、あまりに問題が多すぎる訪朝だったと言わざるを得ない。小泉首相はじめ首相訪朝を評価する人々は、拉致家族帰国を大きな成果と強調しているが、小泉首相本人が行かなければならなかったのか?拉致議連の平沼衆議院議員も「自分でもよかった」と言うように、他の自民党幹部でもよかったのではないか?
援助を要請する側の元首が、援助を行う国を訪問するということが世界的常識・礼儀(人対人でさえ当然のこと)である中で、日本の首相が北朝鮮を自ら訪問するというのは、外交上「最後の最後のカード」であることはいくら強調しても足りない。そういう常識さえあっさり覆してしまう、日本の三流外交を本当に悲しく思う。
1年半前の小泉首相の電撃的訪朝の際に結ばれた日朝平壌宣言は、その後、北朝鮮の核開発の実態が明るみに出たことにより、全く履行されていないことは明白となっている。そのような状況の中で、何ら具体的な核廃棄のスケジュールも無しに「日朝平壌宣言の誠実な履行を確認した」と言っても、全く意味をなさない。例えていうなら、金総書記が「宣言は守ります」と言ったことに対して、小泉首相が「ウソをついているのは分かっているが、とりあえずそういうことで」と答えたに等しい。
90分の会談も、通訳が入っていることを考えれば実質45分。そんないい加減なやりとりの中で、10名の安否不明者の再調査を約束したと言っても、金総書記が本気で考えていると誰が信じるだろうか。
安否不明者の10名というのも、北朝鮮が拉致を認めた人に過ぎず、実際には数百名に上るという説もある。北朝鮮に対しての経済支援等による友好的な外交が、拉致問題について何の効力も示さなかったことは過去の歴史が証明しているのだから、拉致問題を本当に解決しようとするなら、今国会で審議中の経済制裁法案や特定船舶入港禁止法などで、北朝鮮を追い詰めるしか方法は無いはずだ。
小泉首相は、年金問題をかわすために、あっさり「最後のカード」を切り、人道援助を再開し、経済制裁は行わないなどというリップサービスまでしてきた。拉致問題や核問題についての、今後の進展は望むべくもないだろう。
日本の首相が、迎賓館で金総書記が登場するのを直立不動で待たされ、そして別る際にも、直立不動で金総書記が去っていくのを見送っている姿を見て、悔しくて涙が出そうになった。そして、まだ家族が帰国していない拉致被害者家族会の方々や、拉致されて未だに北朝鮮で暮らしている人々のことを思い、悲しくて涙が出そうになった。
05月23日(日)
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