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とも蔵日記
by とも蔵
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■通り過ぎなかった車
先の信号は赤、交差点の先頭で信号待ちだ。
ここは片側二車線の大きな通り。
左(折方向)から白い(Y33)セドリックが右折してきた。
けっこうなスピードでイン側に大きくショートカットした走りだった。
爆音マフラー装着、シャコ短、窓には黒いスモークフィルム。
かすかに携帯電話を片手に運転しているのが確認できた。
「アホが‥‥危ないなぁ‥‥それにしても今となっては珍しい」
「まだいるんだな‥‥ああいうの」
そう思っている間にも、セドリックはオイラの視界から消えさそうといていた
まさにその瞬間。
ガン!!という物凄い音と同時に突き刺さるように急停車。
「おお!何じゃ!?」
見ればセドリックは停車したのではなく、中央分離帯に激突したのだった。
「おぉ〜素晴らしい‥‥」(失礼)
「大丈夫かな?」とおもった数秒後。
ドアがカチャと開いた。
エアバッグが開いているのが見える。
同時に車内から外へ白い煙がモワッと出た‥‥いや、実際には煙は存在しなかったのかも
しれないが、オイラにはそう見えた。
それはまるで映画バックトゥーザフューチャーのデロリアンの登場シーンのようだった。
(そんなモン知らないって)
煙の中から、眉間にシワを寄せながら目を細めヨロヨロしながら茶髪の若い女性が出てきた。
その髪は激突時のショックなのかボサボサ。
大きめのジャージだかスエットをルーズに来ていた。
片手にはまだ携帯電話が握りしめられている。
その姿はまるでお婆ちゃんだ。
それを見たオイラは大爆笑してしまった。
他のドライバーや通行人も苦笑い。
程なくして信号は青。
申し訳ないが助けている暇はない。
アクセルを踏みしめ現場をあとにする。
誰か止まって助けるかな?と思ってミラーを見たが、少なくともオイラが確認できる範囲では
手を差し伸べるドライバーはいなかった。



10月20日(金)
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