ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■1194, ニーチェ(2) ー哲学についてー15
ニーチェの最も受け入れられている考えかたとして、
「人は自分自身にとってどんなに受け入れられない不快な現実であっても、
ひるまずに立ち向かい、それを直視すること、そしてその知識に基づいて、
人生そのものを目的として、それ以外の見返りを求めずに生きるべきだ」
が支柱にあった。
当時、信仰心が薄れていた人たちにとって、まさに生きるべき指標となった。
これは儒教とほとんど同じ考えといってよい。
人生を徹底して生ききろうとしたとき、人はその分だけ争いに巻き込まれる。
それだけ振動が大きくなるのだから当然のことだ。
しかし、ニーチェによれば、「争いの緊張感が、指導者としての力を最大限に引き出し
その能力をさらに高めてくれる」と説いた。
反面、彼の思想はファシズムにも大きな影響を与えた。
ファシズムの創始者のムッソリーニが彼の本を幅広く読んで、ヒトラーと1938年に
歴史的会談をおこなった時に、ニーチェの作品を贈呈している。
そのため彼の思想は大きく誤解されることになってしまった。
彼はむしろ、ドイツの民族主義を嘲笑し、反ユダヤ主義を軽蔑していた。
19世紀末から20世紀にかけて、ニーチェは芸術家にも大きな影響を与えた。
その一人バーナードショーはニーチェの思想を
シェークスピアがリチャード三世に語らせている次の言葉に要約されていると指摘した。
良心など臆病者の使う言葉しかすぎない
そもそのも勇者を脅かすための計略なのだ
我々の力だけが良心、剣をもって法律とするのだ
ニーチェは特に文学的才能を持ち合わせていたのが特徴といってよい。
多くの人によって散文作家とみなされている
彼の文章は哲学者に見られがちな、主張と反論がつづく長い文章ではない。
格言や聖書のように短く区切られていた。
新しい視点でものごとを見てもらうために、心に残るイメージを利用した。
彼の主張は、暗示的であり、喩えから類推しなくてはならない。
[稲妻の閃光のあとで轟きわたる雷鳴]のように工夫してあった。
当時の人に直接大きな影響を半世紀にわたって与え続けた哲学者として、
やはり特記すべき人である。
ー以下の抜粋の言葉の中にニーチェの思想がことごとく入っている。
彼の言葉は、難しく体系化されてないところが、逆に解りやすくなっている。
・私は君たちに、君たちの官能を殺せと勧めるのではない。
私が勧めるのは官能の無邪気さだ。
・独創的――何かの新しいものをはじめて観察することではなく、
古いもの、古くから知られていたもの、あるいは誰の目にもふれていたが見逃されて
いたものを新しいもののように観察することが真に独創的な頭脳の証拠である。
―「人間的な、あまりに人間的な」―
・善とは何か――人間において権力の感情と権力を欲する意志を高揚するすべてのもの。
悪とは何か――弱さから生ずるすべてのもの。
―「反キリスト」―
・生きるとは何のことか――生きるとは、死にかけているようなものを
絶えず自分から突き放していくことである。
―「華やかな知識」―
・真実の山では、登って無駄に終わることは決してない。
・誰であれ、若いうちは、思う存分遊ぶべきである。
長いあいだ活字の森にばかりいると、そこから抜け出られなくなるものだ
・人間のみがこの世で苦しんでいるので、笑いを発明せざるを得なかった。
・人間は深淵に架けられた一本の綱である。
渡るも危険、途上にあるも危険、後ろを振り返るも危険、身震いして立ち止まるのも危険。
―「ツァラトゥストラ」―
・狂気は個人にあっては稀なことである。しかし集団・民族・時代にあっては通例である。
―「善悪の彼岸」―
・自殺を想うことは強い慰謝剤である。これによって数々の悪夜が楽に過ごせる。
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07月10日(土)
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