ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■7032、閑話小題 〜白紙委任状にハンコ押せと言われても 〜2
悩みになる。それすら分からず紋付袴の紋章を競っている、それも人生だが。
「つまらん男、それは私」と、つくづく実感している。 が、日々が、面白い!
――――
2016/08/18
終わった人 −1
<『終わった人』内館牧子(著)>
これは、アマゾンのHPで見つけた本。リタイアをした身にとって、
『終わった人』の内容は、身にしみる。団塊の世代が、この数年で大量に
職場から押し出され、『終わった人』になっている。 まだ終わってない、
その端にいる人ほど一歩先に終わった人に言い放ちたい言葉でもある。
還暦ならいざ知らず、古希も過ぎれば、何をいわれても馬耳東風。
まだ若いと思っているのは自分だけ。老兵は、ただ黙って去るのみ。
恵まれたサラリーマンほど、節目の切替が難しい。
〜アマゾンの内容説明より〜
≪ 銀行の出世コースから子会社に出向させられ、定年を迎えた田代壮介。
仕事一筋だった彼は途方に暮れる。妻は旅行などに乗り気ではない。
図書館通いや体を鍛えることは、いかにも年寄りじみていて抵抗がある。
職探しをしてみると、立派な職歴が邪魔をしてうまくいかない。
妻や娘は「恋でもしたら」とけしかけるが、気になる女性がいたところで、
思い通りになるものでもない。惑い、あがき続ける田代に安息は訪れるのか?
〜アマゾンのビュアーの声より〜
《 何と云っても、タイトルが秀逸。長い人生、生物的には最期の時まで
「終わり」はないはずだが、「社会的には」確かに終わった人は年々増えて
いるし、殆ど全ての人間は(自分も含め)そうなることを改めて教えられ、
身に沁みた。「散り際千金」「散る桜残る桜も散る桜」(2頁)と考える田代
壮介、49歳で子会社に出向、51歳で転籍、63歳のとき年収1,300万円で退職
(あと二年働けたが、そうすると6割近く下がる)、保有資産は現金で
約1億3,600万円(275〜6頁)の「卒婚」(358頁)物語。
(しかし、こんなに恵まれたサラリーマンなんて、そうそういないでしょう)
★ 卒婚とは 離婚との違いとしては、夫婦の関係を断ち切るのではなく、結婚
という形を持続しながら、それぞれが自由に自分の人生を楽しむ、という前向き
な選択肢。 必ずしも別居ではなく、同居しながら卒婚というスタイルも有りうる。
〜印象に残った箇所〜
「もし、私が田代さんのお部屋に泊まれば、あとは別れるか、愛人になるか、
結婚するかしかありません。男と女になれば、十年も二十年ももつ関係が、
半年や一年で終わります」 (217頁)
「あんなにきれいな人だもの、今に誰かと結婚してトシは捨てられるわよ」
(239頁)
「恋? お前も情けないものと比べるね。あんなものは十代でも二十代でも、
生きてるついでにするものだよ」 (252頁)
「「先が短いのだから、好きなように生きろ」ということなのだ。嫌いな人
とはメシを食わず、気が向かない場所には行かず、好かれようと思わず、
何を言われようと、どんなことに見舞われようと「どこ吹く風」で好きな
ように生きればいい。・・ これは先が短い人間の特権であり、実に幸せな
ことではないか」 (287頁)
「今後、介護やあなたの世話をする気はない。
でも、離婚という形は取りませんから」 (292頁)
「将来を嘱望された男ほど、美人の誉が高かった女ほど、
同窓会に来ないというのはよくわかる」 (314頁)。
「思い出と戦っても勝てねンだよッ」 (319頁)
「思い出と戦っても勝てない。「勝負」とは「今」と戦うことだ」(333頁)
「僕が笑うと、久里も笑った。きれいだった」 (366頁)。
▼ 産業廃棄物の典型的な人物描写である。第一の人生をソツなく卒業すると、
こうなるのだろう。学生時代の友人が、いまだに、関連会社の社長に、
しがみ付いている。曰く、『何もすることがない事が恐ろしい!』と。
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06月16日(火)
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