ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■6488,閑話小題 〜他に宇宙が10の500乗も…
 村上: 三者協議。僕は「うなぎ説」というのを持っているんです。
 僕という書き手がいて、読者がいますね。でもその二人でだけじゃ、小説という
 のは成立しないんですよ。僕にはうなぎが必要なんですよ。うなぎなるもの。
 柴田: はあ。
  村上: いや、べつにうなぎじゃなくてもいいんだけどね。たまたま僕の
 場合は、うなぎなんです。何でもいいんだけど。うなぎが好きだから。だから
 僕は、自分と読者 との関係にうまくうなぎを呼び込んできて、僕とうなぎと
 読者で、膝を突き合わせて、いろいろと話し合うわけです。そうすると、小説
というものが上手く立ち上がってくるのです。】
▼ 村上は中間者の存在の必要性をいっているが、中間的協議を何かケッタイ
 な存在としてイメージするのは面白い。こで、私は何にするか?
「ジャックと豆の木」「ジャック」が今、思い立ったので、これに決めた。
「ようジャック、どう思う?」が内語として、定着するかだが。
 私:「ところで、ジャック、このテーマと内容、どう思う?」
 ジャック:「急にふられても、答えようがないが、私を創作してくれただけで
 良いんじゃないか」ってな感じか。
・・・・・・・
3554, ドラマの基本形は三角形           
2010年12月18日(土)                                
* 脚本家ジャームス三木の目からみた「人生」とは
 十数年前に、ジェームス三木の「ドラマの作り方」をテーマにした講演を
聞いたことがある。朝の連ドラを書こうとしたら朝食の場面を思い浮かべる。
そして味噌汁と醤油から、そのライバルメーカー同士の男女の恋愛を想定。
二人が親同士の反対を乗り越えていく物語を作れば、大衆に受けいれられる。
成る程と感心して聞いた憶えがある。 ある雑誌に「ドラマの基本形」の
テーマで書いていた。 ーまずは、その部分からー
【「あなたは死にますよ」この予言だけは絶対にはずれない。死ななかった
人間はひとりもいないからだ。ただし生きているという前提がなければ、死ぬ
ことはできない。死は生存のあかしでもある。ならば生きるとはどういうことか。 
脚本塚として四十数年、人間のありようをこつこつ書いてきたが、ドラマの
基本形は突きつめると二種類しかない。
・ひとつは敵と闘って勝つか負けるか。
・もうひとつは困難を乗り越えて愛が実るかどつかだ。 
 闘争系ドラマは戦争もの、犯罪もの、出世物語、スポーツ根性ものといった
たぐいで、勝ち負けは生存本能につながる。愛情系ドラマは恋愛・子育てを中心
に、メロドラで、ホームドラマ、文化教育ものなど、種族保存不能と深ぐ関わる。
つまりドラマは、動物の二大本能である食欲と性欲を、あの手この手で表現。
私たちが生きる意味のヒントはここにある。人類が他の動物より少し偉いのは、
集団社会を維持する手段として、食欲と性欲の暴走を制御するシステムを編み
出したからだ。それが神である。神が人類をつくったのではない。人類が神を
つくったのである。史上最大の発明である神は、集団のコントロールに絶天な
威力を発揮した。人々は神の下に行いを正し、倫理道徳を守り、欲望にブレーキ
をかけた。ドラマ作者から見れば、人類の行動論理は神と食欲と性欲の三極に
支配されている。人間の実体は三角形といってもいい。人によっては平べったい
三角や、とんがった三角もある。ぐにゃぐにやした三角も、硬直した三角もある
だろう。 いずれにしても三角形の内角の和は、すべて百八十度である。
ところが厄介なことに、人類は複数の神様を創った。集団ごとに神が違えば、
信仰は対立し排他的になり衝突する。人類を救うはずの宗教が戦争を起こす。
文明が発達し生活様式が変わると、集団杜会システムも修正せざる得なくなり、
三極のうち食欲ど性欲は変えようがないので、神のかたちを合理化するしか
なかった。それが憲法や法律、イデオロギー、正義、秩序、ルールといった
〔神〕になった。新しい神は仕分けに不慣れで、いまだ掌握しかねている。

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12月18日(火)
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