ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■6296,久々のパレートの法則 〜3
期待して勇んで病院に見舞いに行った時、「もう少ししたら何か言います」
と言われた。だが、何も言わずに死んでしまった。これもずっと後から聞いた
話であるが、私がウィーンから帰ってきて人より十年も遅れて駒場の助手に
なった頃、「今度帰ってきた中島という男は難しい所もあるが、どうか寛大に
見てくれ」と哲学仲間に訴えていたという。何も知らなかった。涙が出る思い
である。それほど気にかけてくれた先生は、物書き業に堕した私を許してくれ
ないであろう。魂が擦り切れるまで哲学をしていない私を軽蔑するであろう、
それが苦しいので、時折私は必死に叫んでみる。「私は先生とは違うのです、
こういう形でしが哲学ができないのです」そうしながら、「それでいいのだよ」
という先生の優しい言葉を期待する。だが、いくら耳を澄ましても何も聞こえて
こない。≫
▼ 何度も読み返えすたび、その都度、それぞれの青年期の節目の苦悩が蘇る。
多かれ少なかれ、青年期には、各自が、似たような苦悩を抱えて苦闘するが、
いつの間に現実に同化してしまう。で、娑婆娑婆して、この有様! 色即是空
・・・・・・
2016/06/04
フーテンの寅の、本質と家族の幸せとは 〜@
最近になって、『男はつらいよ』のシリーズの再放送を見なくなったが、
以前は再放送の度、何度も観ていた。もちろん48作の全部を観ている。
TVの再放送を含め平均3回を観たとして、150回は観たことになる。
特に浅丘ルリ子の、リリー役ものは、5〜6回以上は観ていた。この映画が
始まった1969年は、新社会人として、四日市、神戸、桑名と、転勤生活の中で、
家族の温みを寅さんの実家の団子屋の中に温みに求めていたようだ。
精神分析医と、『男はつらいよ』の山田洋次監督の対談が、なかなか面白い。
* 寅は「基底欠損」 <山田洋次:名越康文 対談>より
≪ 山田:寅は「人間というのはこんなにみっともないよね」という恥部も
見せてくれる。自分が食る分のメロンがないというだけで、「どうせ俺はね、
この家では勘定に入れてもらえない人間だからな」と言って大ゲンカしたり。
名越:有名なメロン騒動ですね(第15作『寅次郎相合い傘』)。『男はつらいよ』
を全作観て、僕は寅さんの中にとめどないブラツクホールのようなものを
感じました。寅さんを心理分析すると、99%は温かいものでできているけれど、
残りの1%に、ダークマダーのようなものがギューッと凝縮されている。
それは下手したら温かい99%を無にしてしまうようなすごい闇です。
「俺の気持ちをわかってくれ!」という精神的な甘えも強烈で、カッとして暴れる
こともしょっちゅう。じゃあなぜ寅さんにこのような攻撃的なエネルギーが
生まれるのかと考えた時、「基底欠損」という精神分析用語がハッと頭に浮か
びました。幼い頃、親に甘えても受け入れてもらえなかった。おっぽいが十分
に吸えなかったとか、抱っこしてもらえなかったとか、満たされるべき欲求が
満たされなかった。そういう根本的な愛情や安心感の欠如が、大人になって
から甘えたり、無理を言うことにつながってしまう。寅さんもそうすることで、
親に拒絶された「欠損」を埋めようとしているんじゃないかと解釈したんです。
山田:とても面白いですね。「基底欠損」という言葉を初めて聞いたし、そういう
心理学的なことは何も知りませんでした。だけど、寅みたいな人間はどこか心
の中に空洞があるんだろう、そういう人間って、赤ん坊の時がひどく不幸
だったと考えて、寅が産みの母に捨てられたという設定にした。≫
▼ 私の母親が、世にも珍しい<ママ父>虐めの被害者。その恨み辛みを、
ことあるごとに聞いていた。3人の子供を残して逝った父親の後添えに、
祖母は男後家と再婚、八百屋を維持した。その義父との間に4人の子供が
できたが、義父は徹底して3人を虐めたという。祖母も、男後家の関係上、
3人には冷たくせざるをえず、一番末の母は、幼児の頃から、両親の温みを
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06月09日(土)
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