ID:54909
堀井On-Line
by horii86
[397749hit]
■1796, 超アメリカ整理日記 −2
今もその辺を彷徨っている人間だ。
もうじきホームページを持たない人を「ホームレス」という時代が来るだろう。
「ホームレス作家」 書評
ーー・・・−−
石井 英和
評価:A
ホ−ムレス生活を心ならずも実体験しつつ著者は、彼等の日々が
「はっきりと記すことは出来ないが、もっと切実で狂おしい何か」への渇望に満たされている
ことを発見する。人類が太古の闇に捨ててきた筈の、恐怖の叫びに満たされた心の地獄。
その底へ落ちてゆきたいという倒錯した欲望が、実は万人の心の底にある。
だから人間は、無理矢理発明した「社会のシステム」を機能させ、それにすがって、
やっとのことで命脈を保ってきた。システムのほころびにはまりこんだ著者は、
「自分は作家失格?夫失格?なおかつ浮浪者失格?」と律儀に自問を繰り返しつつ彷徨い、
この手記をものにする。その視線の先、欠陥だらけの生を送る人間たちとその社会は、
いつかもの悲しいコメディの様相を呈し始める。
世界は実は、一個の壊れたオモチャなのだと知らしめてくれる書。
-------------------------------
今井 義男
評価:B
本書をホームレスの一般論として読むのは適当ではない。著者は現役の作家であり、
原稿を書く環境が整い、それを買い取る出版社があれば収入が見込めるのだ。
現にこうして本が出ている。住居を失ったとはいえ家族は施設で保護され、
なにかと気にかけてくれる人もいる。他のホームレスに比べればずいぶんと状況はマシである。
したがって、大変な事態には違いないのだろうが、著者の苦闘ぶりはどこか仮の姿のようで
あまり深刻な印象はない。本文中ボランティアや宗教関係者に対する強固な偏見が見受けられる。
他人が口をはさむ性質のものではないが、彼らがいなければ明日にでも生死にかかわる人たちが
いることにも目を向けてほしい。もの書きならなおさらである。本筋とは離れるが、
著者が三日でクビになったバイト先の<共同出版>の話は実に興味深い。
色んな商売があるものだ。
-------------------------------
唐木 幸子
評価:A
この著者は前の年の年収が500万円、通常は1000万円の年収があったという作家だ。
妻子を養うに充分な収入だと私は思う。それでも、こんなにあっけなくホームレスになるのだ。
最近は、ホームレスになる恐怖にサラリーマンでもさらされている。
私だって23年間も月給を貰うのが当たり前の暮らしだが、そういう心配が全くないとは言えない。
でも本著を読んで私は学んだぞ。例えそういう事態になったとしても、
他のホームレスの人々と寄り集まって酒盛りだけはしない。酒を飲む金があったら、
体の汚れや臭いを落とすことに使う。ここが著者が再び社会に戻って来れた分岐点だ。
それにしても居丈高に登場しては著者を貶めるケースワーカーの女は本当に腹立たしい。
このように無知で程度の悪い人間を取り立てる行政は、一体、何の積りなのだ。
こんなのにも負けず、よく頑張ったなあ、この著者。今、どうしているんだろう。
この本が売れて、ちゃんとアパート借りて、奥さんや、あの可愛い娘、産まれた赤ちゃんと一緒に
暮らせていますように。待てよ、そうするとまたホームレスへと…。
ーーーーー
「ホームレス失格」書評と概要
−あの「ホームレス作家」の第二弾です。以前、本サイトでもご紹介しましたよね。
普通に考えると、「そうか、あの企画、当たったもんな。ここは柳のしたにドジョウが
7匹いる出版界だから、この路線でまた売るんだな」と考えてしまいますが、そうじゃないんです。
この人、ホントは「連帯保証人」という作品を書いてたんです。
ところが、これが終盤まで書いてどうも筆が進まない。編集者からは、
「ホームレス作家という作品はたまたま書けただけで、もう、あなた、書けないんじゃないです
と言われる始末。でも、そうじゃなかったんです。
「じりじりするようなリアリティ」が感じられなかったんですね。だから、どうしても乗れない。
[5]続きを読む
03月04日(土)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る