ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■6524,閑話小題 〜年寄り川柳が身に染みる御年頃ですか…
▼ これを読んでみた実感! <ご長寿に、なりたくもあり、なりたくもなし>
でも、なってしまったから、これだけは笑い飛ばすしか手立てはない。
――
2012/08/03
ある老女の遺書ー 3
10年前に取り上げた、随想集『心に残るとっておきの話』第五集、
に載っていた内容。10年か20年もしないうちに、生きていれば次のステージ
で待っている。人は、それぞれ来し方の人生という行蔵がある。その行蔵に他人は
入ってみることは出来ない。しかし本人には蔵があり、それぞれの棚には多くの
経験というお宝がある。外見はボンヤリしていても、一歩藏に入れば宝の山。
だから元気なうちに、ここで書き残すべきことを書いている。ところで遺書を
書いた老女は80歳後半辺り。看護婦の叱責に怒りと哀しみが蓄積されている。
老人同士の愚痴は、その解消のためにある。しかし老人ホームでは、それも
限られる。老化は、それだけでウツになる要素が十分にある。だから元気な
うち、動けるうちに、やるべきことは、全てしておくことだ。老いるという
ことは、過去のしてしまった失敗と、しなかった後悔にうち震えることだ。
● 2002年08月02日(金) 475, ある老女の遺書
この文は「心に残るとっておきの話」
第五集に載っていた話で、そのまま写し書きしてみる。
≪ ー老人ホームで孤独に死んでいったある老女のロッカーの中から見つ
かった詩、書き置きです。「何がわかっているのです!看護婦さん、あなた
は何わかっているの? さほど賢くもない年老いた気難しい女、ぼんやりと
した目付きをして行動力も緩慢で、食ものをボロボロこぼしても返事をしない。
(努力して、やってみて欲しいの!)とあなたが大声でいっても、そんな事
少しも気にかけない様子で、靴下や靴はいつもなくしたまま、何も逆らわず、
何をしようというわけでなく、長い一日を入浴と食事で埋めている。そんな
ふうにあなたには思え、そんなふうにあなたは私のことを考えているの?
もしそうなら、看護婦さん、目を開いて、私を見つめてごらん。あなたのいう
ままに、あなたにしたがって食事をし、私がじっと静かにここに座っている
間に、私のことを話しましょう。
私が十歳の子供の時、父と母が一緒に暮らし、兄弟姉妹は互いに愛し合い、
十六の若い少女のときはウキウキし、もうすぐ愛する人に巡り会えることを夢み、
やがて二十歳になろうとする時、花嫁になり心は踊り、永遠に守ると約束した
誓いの言葉。
25歳で子供が生まれ、子供のために安全で幸福な家庭をきずき、
30歳の女性になり、子供の成長も早く、永遠に続く絆で互いに結ばれ、
40歳の時若い息子たちは成長し、巣立つ日も近く、
50歳の時、再び私のヒザの上で幼子が遊びたわむれ、もう一度私を愛する
子供達と私は理解しあう。
夫が死に暗い日が続き、未来を見つめ、恐怖に身震いする。
若い者はみな子育てに忙しく、私は昔を愛し合った日を思う。
私は年老いた女。自然は残酷だ。老年が私をおろかにみせる。
私の体から優雅さは打ち砕かれた。活気はなくなり、かって熱く燃えた心も
今は石のよう! しかしこの古い身体の中に、若い少女は住み続けている。
そして今も再び心がときめく喜びの日々を、また苦しかった日々を思い出し、
私の人生を愛し続け、過ぎ去った日々を再びたどる。永遠に続くものは何もない
という厳しい事実だけを残し、あまりにも短い、早く過ぎ去った年月の事を思う。
さあ看護婦さん、あなたの目を開きなさい。目を開いて私を見つめて、
もっとそばによって、気難しい老女でない、‘私を知って!’≫
―
▼ この文は6年前に読んで非常に感動した本だ。一人の人間の心の叫びが
そのまま伝わってくる。これを何時か書こうと思っていたが、その時が
きたようだ。いや久々に検査の為、病院に行ったのがきっかけでしかないが。
これだけの文章の中に人生の全てを言い尽くしている詩である、人生を言い
尽くした。 必ず誰も思う道だ。笑えるうちに笑っておいて本当に良かったと
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01月24日(木)
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