ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■6289,終わった人 −2
《 何と云っても、タイトルが秀逸。長い人生、生物的には最期の時まで
「終わり」はないはずだが、「社会的には」確かに終わった人は年々増えて
いるし、殆ど全ての人間は(自分も含め)そうなることを改めて教えられ、
身に沁みた。「散り際千金」「散る桜残る桜も散る桜」(2頁)と考える田代
壮介、49歳で子会社に出向、51歳で転籍、63歳のとき年収1,300万円で退職
(あと二年働けたが、そうすると6割近く下がる)、保有資産は現金で
約1億3,600万円(275〜6頁)の「卒婚」(358頁)物語。
(しかし、こんなに恵まれたサラリーマンなんて、そうそういないでしょう)
★ 卒婚とは 離婚との違いとしては、夫婦の関係を断ち切るのではなく、結婚
という形を持続しながら、それぞれが自由に自分の人生を楽しむ、という前向き
な選択肢。 必ずしも別居ではなく、同居しながら卒婚というスタイルも有りうる。
〜印象に残った箇所〜
「もし、私が田代さんのお部屋に泊まれば、あとは別れるか、愛人になるか、
結婚するかしかありません。男と女になれば、十年も二十年ももつ関係が、
半年や一年で終わります」 (217頁)
「あんなにきれいな人だもの、今に誰かと結婚してトシは捨てられるわよ」
(239頁)
「恋? お前も情けないものと比べるね。あんなものは十代でも二十代でも、
生きてるついでにするものだよ」 (252頁)
「「先が短いのだから、好きなように生きろ」ということなのだ。嫌いな人
とはメシを食わず、気が向かない場所には行かず、好かれようと思わず、
何を言われようと、どんなことに見舞われようと「どこ吹く風」で好きな
ように生きればいい。・・ これは先が短い人間の特権であり、実に幸せな
ことではないか」 (287頁)
「今後、介護やあなたの世話をする気はない。
でも、離婚という形は取りませんから」(292頁)
「将来を嘱望された男ほど、美人の誉が高かった女ほど、
同窓会に来ないというのはよくわかる」(314頁)。
「思い出と戦っても勝てねンだよッ」 (319頁)
「思い出と戦っても勝てない。「勝負」とは「今」と戦うことだ」(333頁)
「僕が笑うと、久里も笑った。きれいだった」(366頁)。
▼ 産業廃棄物の典型的な人物描写である。第一の人生をソツなく卒業すると、
こうなるのだろう。学生時代の友人が、いまだに、関連会社の社長に、
しがみ付いている。曰く、『何もすることがない事が恐ろしい!』と。
それも良い人生かも知れない。 『日々、是、口実』よりも?
「終わった人」ならまだしも、「いらない人」になっていく私?
で更に、内館は、『必要のない人』という本を書いている。 ったく!
・・・・・・
5192,ロシアの小話 ぷらす4つ
2015年06月02日(火)
* ロシアンジョーク
ロシア帝国やソ連の圧制の中で、したたかな市民はジョークで、憂さを
晴らしていた。だから、内容は強烈な毒が含まれている。話す方も、聞く方も
命がけ。ジョークは、その内に秘められている毒が理解できればこそ笑いになる。
・ワルシャワの精神病院をソ連の視察団が訪れ、一人の患者に入院理由を尋ねた。
「亡命しようとしたからさ」 視察団は首を捻った。
「我が国なら政治犯収容所に入れるところだが?」 医者が答えた。
「いや、こいつはソ連に亡命しようとしたんです」
・工場の財産を労働者たちがくすねるのを防ぐため、門で守衛が見張っている。
その守衛が、手押し車に袋を乗せて通り過ぎようとするイワンに目を付けた。
「袋の中はなんだ? イワン」
「おがくずでさ。家でたき付けにするのを監督さんが許可してくれたんだ」
しかし、守衛はイワンの言葉を信用しない。
「開けるんだ!」 袋の中味がぶちまけられるが、おがくずしか入っていない。
次の日も同じ場面が繰り返される。
「今度はだまされないぞ。開けろ!」 イワンは袋を開ける。やはり、おがくず
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06月02日(土)
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