ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■2676, ルソーの思想
 あの双子の銀座ママの妹の‘ますいさくら’が、ある雑誌に寄稿していた文章である。
図書館で借りた「銀座ママが教える『できる男』『できない男』の見分け方」を読んでいた。
それによると、彼女はシングルマザーで、そのことで子供が虐めにあわないようにアメリカに留学させていることと、
銀座で合理的システムで値段を思い切って格安にしたことも。

    「ああ、例のママが書いているのか」と気楽に読み始めたら、
    内容は「政治家の家族の火宅の実情」である。政治家の火宅の例としては山村新二郎がいる。
    よど号ハイジャック事件で 人質交換の時によど号に乗りこんだ政治家だが、
    最後は自分の娘に殺されてしまった。その家庭を彷彿させる内容である。

 政治家は「井戸塀」(政治家は最後は井戸と塀しか残らない)といわれるほど、
家(庭)を犠牲にしないと成り立たない世界である。 
火宅といえば、私自身が物心がついた頃から少年期にかけて家は火宅そのものであった。
事業も政治業も同じ世界である。毎日が闘いの世界で、次々と問題が押し寄せてきて、
子供にも直接・間接にエネルギーがかかってくる。
終戦から五ヶ月後に産まれで、両親が焼け跡から事業を再度立ち上げる最中であった。

     8人兄・姉だったが、そのプロセスで長兄・次兄が亡くなってしまった。
    そのショックで母はノイローゼになり、心不全で死の一歩手前までいった。
    子供ながらに、そのエネルギーを直接感じていた。
    隣の部屋で「死のうか〜、死にたい!」という両親の話を聞いていた。
    事業家とか、政治家とか、一見格好よくみえるが、実情は火宅といってよい。
    いや、火宅など当たり前で、それを何とも思わないと、それが面白いとでも
    思わないと長期的にはやれない。 だから好きになるしかない。

丁度、参院選挙が終わった後、政治家の家族を内側から見るのも面白いだろう。
 ーー
ー焼き尽くす季節にー
   谷川俊太郎『ビリー・ザ・キッド』
            ますいさくら

俺は殺すことで人をそして俺自身をたしかめようとした
しかし他人の血で青空は塗り潰せない
俺は自らの血をもとめた 今日俺はそれを得た
俺は自分の血が青空を昏くし やがて地へ帰ってゆくのをたしかめた
俺は俺の地の匂いをかぎ 今は俺が地になるのを待つ
俺の上を風が流れるもう 俺は風をうらやまない もうすぐ俺は風になれる
もうすぐ俺は青空を知らずに青空の中に棲む 俺はひとつの星になる
すべての夜を知り すべての真昼を知り なおめぐりつづける星になる 
         谷川俊太郎「ビリイ・ザ・キッド」

 谷川俊太郎を初めて読んだのは、小学校の国語の教科書に載っていた「ことばあそびでした」でした。
そのときは、その「超平和主義」に、ついていけませんでした。 なにしろ、当時は、父親が神奈川県で
連続当選を遭進中の県会議員、母親の実家は、鎌倉で大きな病院を経営する一族。
一期四年の任期を、二期、三期と続けていくうちに、わたしは幼稚園の頃からすでに
「優秀な政治家の家族(らしい雰囲)」を演じる術を身につけていたのです。
「選挙事務所という戦場が遊び場の幼き戦士」、いえ
「ペテン師が悲哀を演出するために連れている子供」といった存在だったのです。

 両親は、「子供たちの明るい未来」を唱える政治理念とは裏腹の、
すさまじい家庭内暴力をふるい続ける長男を、病院にも連れていかず、
世間から隠し続けていたのです。たとえ父の腕がへし折られ、母の顔の骨が砕かれ、
わたしに痣や傷跡が絶えなかろうとも…。
「本当のことを話したら、選挙に落ちてしまうのよ。ごはん、食べられなくなるのよ」

 両親に戒められている口を、制服の胸のスカーフが風で舞い上がって隠してくれたなら、
マスコミが期待する上出来な返答を、有権者が望むべき、こうであって欲しいと思う
家族像を、暗記した九九のように、すらすらとお話しできるのに……。

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08月02日(土)
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