ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■1571, 五稜郭
梶聡一郎が最寄の警察署に出頭してきた時、捜査一課強行犯指導官、志木和正は、
連続少女暴行犯人の自宅を朝駆けで急襲する最中だった。梶の取調べを命じられて、
何ヶ月も追ってきたヤマから最後の最後で引き剥がされ、警察署へUターンする
志木の胸中に去来する複雑な思い。

半年前、アルツハイマー病を発症した啓子の看病の為、自ら刑事を辞して警察学校で
後進の指導にあたり、広く敬愛を集めてきた梶が、なぜ殺人を犯したのか。
取調室で向き合う梶の視線の奥が、あまりに澄んでいることに驚く志木。

志木の取調べに対して、啓子の扼殺後自首してくるまでの2日間のことについて、
固く口を閉ざす梶に、志木のみならず、駆け付けた県警幹部すべてが困惑する。
現役警部の殺人という一事件が、県警そのものの権威と、そこに属する何千という
警察官の信用を地に墜とそうとしているのだ。
取り調べにあたる志木に、誘導尋問で「空白の2日間」を捏造した事実で穴埋め
するように、命じる県警幹部たち。

そしてその命令に背き、取り調べ官を解任された志木は、独自に、梶がひたすらに
隠そうとしている〈真実〉を探り出そうとする。
7年前に一人息子の俊哉を急性骨髄性白血病で14歳の誕生日を待たずに亡くし、
寄り添うように生きてきた夫婦に、一体何があったのか。
そして梶の事件がやむなく表沙汰になる。

さらに「空白の2日間」についての県警の発表にウソがあることが、梶が東京行の
新幹線ホームにいたことを目撃した男のマスコミへのタレ込みで明らかになり、
県警の周囲は騒然さを増す。事件の推移と共に、担当検事(佐瀬)、弁護士(植村)、
スクープを狙う新聞記者(中尾)、裁く判事(藤林)が、各々の人生を背負い、
思惑を抱え、事件の真相を暴く為に、梶の人生、梶という人間そのものに
近付いていく。

個人として捜査を続ける志木。県警と地検の取り引き≠ナやむなく手を引く佐瀬。
これを機に名を上げようと、意気込んで梶との接見に臨む植村。梶の「空白の2日間」
の行動の一端を掴む中尾。
公判で、啓子と同じ病を持つ父のことが脳裏を掠める藤林。
そして、亡くなった俊哉の担当医、高木の「俊哉君の発病から間もなく、
ご夫妻でドナー登録されたんです」という言葉。

裁判の証言台で、「私は…啓子を殺してやることもできなかったんです…」
と泣き崩れる、姉・康子が保管している啓子の日記に貼られた、
「命をありがとう」
と題された投書記事。弁護を引き受けた植村に梶が問い掛ける、
「あなたには、守りたい人がいませんか」という言葉……

“来るべき日”を待ちわびる梶の、拘置所での、贖罪と希望への祈りを捧げる日々。
どんな犠牲を払い、誹りを受けようとも、あと1年だけ生きようとしている
梶の人生の〈真実〉とは !?

 −−−−−
< 感想>

母をアルツハイマーで5年半、看護した経験があったので、主人公の
深い思いに感情移入をしてしまった。
そして、それに関わる色いろな立場の思惑や利害も、身に憶えのあることばかりで、
主人公の心の壁を探っていく物語は、そのまま自分自身の心の壁を抉りだしている
ようであった。そして、当時の自分の心の姿が浮かび上がってきた。

辛く悲しい母の姿と家族の、それぞれの立場で必死に生きていた当時の日々
がリアルに浮かんできた。しかし、そこには底知れぬ暖かさがあった。

アルツハイマーの身内を抱えた崩壊一歩手前の家族が、どういう気持ちで
毎日を過ごしているか、この映画は深く入り込んではいなかった。
それも、しかたがないが。

高齢化社会の、大きな問題がアルツハイマーである。
どこの家庭でも、ぶつかる大きな問題でもある。

いまの寝室の寝ているところが、母の寝ていたところである。
アルツハイマーになった母が夢で月に二回は出てくる。
母は今でも私の中では生き続けている。

・・・・・・・
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2003年07月22日(火)
839, あいうえおー生き甲斐測定法


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