ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■815, たそがれ清兵衛
映画の後半、清兵衛はある暗殺を命じられます。もちろん断ることはできない。現代社会で言えば、上司に逆らえない平サラリーマンの姿そのもの。
果し合いの日、周囲は何事もなくいつもの朝を迎えるが、清兵衛にとっては心中穏やかではない。養わねばならない家族を残し、死ぬかもしれない果し合いに挑む清兵衛の心だけは、激しく揺れ動いていたに違いない。朋江に身なりを整えてもらうここでのシーンは、印象的で素敵な名場面です。果し合い。男なら誰でも一度は迎える真剣勝負。
文字通り、清兵衛は小太刀を握り締めて、死闘に赴いていく。送り出すのは、妻か恋人か。このようなシチュエーションは、常にどの時代でもあったはずです。
山田監督は、この朝を迎えるまでの清兵衛の生活を、じっくりと描き出している。それだけに、この時の清兵衛の胸中を思うと、胸が苦しくて仕方がない。そして、見せ場となるクライマックスの死闘。この余吾善右衛門との一連のシーンは、従来の時代劇にはない生々しさがあって壮絶です。山田監督の描きたかった思想は、ここでの清兵衛と余吾善右衛門の会話に最も現れているような気がしました。
やがて迎える爽やかなエンディング。井上陽水の主題歌「決められたリズム」が効果的に使われていて、素晴らしい余韻を残す作品になっていました。必見です。
複雑な清兵衛の役どころを繊細に演じる真田広之が素晴らしい。私の好きなこの役者さんは、どんな役でもこなしてしまう人。つい最近の「助太刀屋助六」でも好演していましたし、演技派として最も才能のある一人だと思います。そして、ラスト数十分ながら最も印象を残す田中泯さん。
これが銀幕デビューだとは思えない気迫のある演技で、真田と対等に渡り合っていました。
最後の殺陣シーンは、本気で望んだそうです。それだけにリアルで怖ろしかった。最も重要なこのシーンが成功したのも、彼の存在によるところが大きいと言えるかもね。
もちろん、朋江役の宮沢りえも言うことなしです。「遊園驚夢 華の愛」を観た時にも感じましたが、本物の女優として着実に成長している人だと思います。頑張って欲しいですね。
http://www.shochiku.co.jp/seibei/
06月28日(土)
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