ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■713, 「メシのタネはどこに行った」ー読書日記
ことができたからだが、同じことをやっているうちに付加価値を生まなくなってしまったら、
鉱石の出なくなった鉱山、湯の出なくなった温泉になってしまったようなものだ。
今回必要とされているコスト・ダウンは既に省エネと省力の限界をきわめたあとに更に
要求されているものである。従って、生産工場をもっとコストの安い外国に移動するか、
現地の生産工場に生産を委託して、それを自分たちのルートにのせて売るか、二つに一つの
選択枝しか残っていないところまで一挙に追い込まれてしまったのである。
3.職人日本を襲う戦後最大の危機
日本人はものづくりには熱が入るが、財産を運用してふやすということについて全くと言って
いいほど無関心だった。それに比べると、中国人は物づくりより金づくりに熱心だから、
自分で物をつくるよりも、右のものを左に動かすことによってその差額を稼ぐことに力を
入れてきた。日本に比べて工業化が遅れを取ったのは、むしろこうしたお金優先の思想が
ブレーキになっていると言ってよいだろう。先ず中国人にとって工業化は金儲けための
手段だから、効率が高くてあまり時間がかからない方法を選ぶ。
そのために資本や技術も外国に頼ることをためらったりしない。
世界中の資本と技術がますます中国に集中すると見て間違いないだろう。
また、技術やノウハウを外国に頼りすぎるので、少なくとも近未来では、独自のブランドを
つくりあげることは難しく、極端に言えば、諸外国の委託工場に徹することになる。
日本人の場合は、現地の生産に資本と技術を投じるのだから、そこからの利益が日本企業の
収入になるし、また国際間の格差を利用した流通過程からあがる収入も日本企業の収入になる。
労賃として支払われる分と税金分が現地に落ちるだけで、成熟した日本の取分は資本と経営が
もたらした分に集約されることになる。日本人はグローバル化の中で自分たちの生産者としての
役割をはっきり見定める必要がある。日本のメーカーは今後も世界的規模で生産を展開して
行くのか、それともユニクロのように計画とデザインは日本でやって加工は現地企業に
任せるべきなのか、二者択一を迫られるところまで来てしまったのである。
足元の明るいうちに流通分野だけ残して生産過程から退去する道を選ぶべきだろう。
03月18日(火)
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