ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■699,「ホームレス作家」−2 読書日記
真冬に夜通し歩き続ける。歩いていなければ、凍死するしかないから。
この本に書かれているのは今年2001年の、本当につい最近の出来事だ。ハードカバーの本だけれど、
雑誌に載る告白手記に近いような生々しさがある。告白手記というものの大概は、
文章を書くことを生業としていない人が書くものなので、殆どの場合、内容はともかくも文章
それ自体は大したことがない。ところが本書の場合はプロの物書きの手記な訳で、
その臨場感はただごとではない。真冬の都会の底冷えが背中に這い上がってくる。
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谷家 幸子
評価:A
この本を読み終わった直後、空腹を覚えた私は、コンビニに何か買いに行こうと思って
財布を探した。すると、いつも使っているバッグの中に見当たらない。あれっと思って、
部屋のあちこちを順に見ていったが、やはりない。
ちなみに、そのとき財布の中には珍しく7,8万入っていた。
そして、このとき私を襲った感情は、「恐怖」と呼ぶべきものだった。
つまり、軽いパニック状態に陥ったのである。
しばらくの間、文字通り部屋の中を右往左往した挙句、財布は無事みつかったが、
それにしてもこのときのうろたえぶりは、この作品のもつ強烈なリアリティ抜きには説明しにくい。
瞬間ではあるが、私は心底怖かったのだから。自身の、路上生活者へと到る顛末と、
その日々の実態や感情の揺れ動きを克明に描いたこれは、「ノンフィクション」
などという言葉では表しきれない凄絶さを持つ。必読の一冊だ。
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「ホームレス失格」書評と概要
−あの「ホームレス作家」の第二弾です。以前、本サイトでもご紹介しましたよね。
普通に考えると、「そうか、あの企画、当たったもんな。ここは柳のしたにドジョウが
7匹いる出版界だから、この路線でまた売るんだな」と考えてしまいますが、そうじゃないんです。
この人、ホントは「連帯保証人」という作品を書いてたんです。
ところが、これが終盤まで書いてどうも筆が進まない。編集者からは、
「ホームレス作家という作品はたまたま書けただけで、もう、あなた、書けないんじゃないですか?」
と言われる始末。でも、そうじゃなかったんです。
「じりじりするようなリアリティ」が感じられなかったんですね。だから、どうしても乗れない。
そんな自分を感じていたわけですね。
では、じりじりするようなリアリティというのはどんなことか?
それを述べる前に、この人が「ホームレス作家」という作品を出す前、
出した後の状況変化について話しておきましょう。
まず、出す前。文字通り、ホームレスでした。夜中の一時半から五時まで、吉祥寺界隈を
歩き回っていたといいます。そして、始発と同時にホームに入る。
そうすれば、暖が取れますからね。食べるものもない。借金や食べ物を頼むと、説教だけされる。
そんな毎日だったそうです。
奥さんは子供を連れて出奔してしまいます。「貧乏はもう嫌だ」というわけです。
小さい子供とお腹に第二子を孕んだ奥さんが頼るのは生活保護しかありません。
それで、新宿、品川と流れていくんです。
さて、出版後です。この企画は当たりました。
出版と同時にテレビで再現ドキュメントなどが放送されるなど、社会的な注目も浴びました。
しかも初版4万部ですよ。こんな数字は堺屋太一さんでもありませんよ。印税が600万円。
このお金があれば、ホームレスから足が洗えます。
実際、この人も版元の社長の紹介で家賃5万円のアパートを借りられたんです。
一年分前払いです。まだまだ残る・・・と思うでしょ?
ところが、数カ月すると、せっかく買ったテレビやプリンタを売りに行く始末。
どうしてか?
前に住んで自治体から請求が山のように来たんですね。市民税、健康保険、その他、
そに個人から借りた返済もある。テレビを見たサラ金から、再び、請求が来る。
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03月04日(火)
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