ID:51752
原案帳#20(since 1973-)
by 会津里花
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■チベット問題について……踊らされたくない(田中宇)1
田中宇の国際ニュース解説http://tanakanews.com/ より。
(以下転載)

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★北京五輪チベット騒動の深層
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 3月25日にギリシャで点火された北京オリンピックの聖火が、欧州から北米、アジアへと、世界各地でイベントを開催しながら中国に近づいているが、聖火が行く先々で、チベットの独立や自治拡大を求める国際市民運動の参加者らが、チベットの旗を振りながら中国を糾弾する叫び声を挙げ、欧米を中心とした世界のマスコミが、これを大々的に報じている。

 運動団体の戦術は、なかなか巧妙だ。たとえば抗議行動に参加する活動家たちは、あらかじめ衣服や顔に赤いインクをかけてから、聖火リレーに接近し、チベットの旗を振り、叫び出す。警官隊の制止を受けて活動家たちが引き倒され、近くにいるテレビ局のカメラがそれを大写しにする。活動家たちの顔や衣服は血だらけだ・・・と見る人はどきりとするが、実はあらかじめ活動家自身が体にかけておいた赤いインクである。活動家は、テレビを見る人に、中国政府がチベット人を弾圧して血だらけにしているような印象を与えることができる。

 似たような印象の同種の市民運動は近年、戦術の巧妙さに磨きをかけつつ、各方面で起きている。反グローバリゼーションの運動、環境保護運動、反捕鯨運動、ウクライナやグルジアなどでの反ロシア的な民主化運動などが、やり方や、米英マスコミとの結託の強さの点で、類似性が感じられる。ウクライナとグルジアの反ロシア民主化運動では、米当局が裏で運動の技能を伝授していたことがわかっている。チベットの反中国運動も、冷戦の一部に組み込まれ、歴史的に米英当局の影響下にあった。
http://tanakanews.com/e1130ukraine.htmhttp://tanakanews.com/e1130ukraine.htm

 今年8月に北京オリンピックが閉幕するまで、反中国的な国際的示威行動が続き、大々的な報道も続くと予測される。中国の辺境地域では、チベット人の運動に触発され、チベットと並んで独立心が強い新疆ウイグル自治区の町ホータン(和田)でも、3月23日にウイグル人(イスラム教徒)による「東トルキスタン独立」の要求運動が行われた。黒いブルカ(顔を含む全身をおおう女性用ベール)をかぶった数百人が、独立要求のプラカードを掲げ、中心街の市場の周辺をデモした。
http://www.mcclatchydc.com/world/story/33659.htmlhttp://www.mcclatchydc.com/world/story/33659.html

 欧米日の先進国では、すでに中国のイメージはかなり悪化した。中国共産党は結党以来、プロパガンダやイメージ戦略を磨く努力を続けているが、その分野では米英の方がうまい。中国政府は音を上げ、欧米のイメージ宣伝会社(広告代理店)に頼ることを模索していると報じられた。
http://www.ft.com/cms/s/0/78ca2216-01d1-11dd-a323-000077b07658.htmlhttp://www.ft.com/cms/s/0/78ca2216-01d1-11dd-a323-000077b07658.html

(欧米の国際的なイメージ宣伝会社の多くは米英諜報機関系なので、中国政府が頼んだら、逆にイメージを下落させる戦略を展開しかねない。中国政府は、飛んで火に入る夏の虫だ。報道は事実でないかもしれない)

 欧米各国の政府は、急拡大する中国との経済関係を重視し、北京五輪に対する正面切ったボイコットは避けている。しかし象徴的な抗議行動として、五輪開会式への首脳の参加を取り止める傾向をしだいに強め、フランスのサルコジ大統領が欠席すると言い出し、イギリスのブラウン首相は開会式に出ない代わりに閉会式に出ることにした。米国債を中国に買い続けてもらう必要があるアメリカのブッシュ大統領は、今のところ開会式への参加意志を変えていないが、米民主党はブッシュに欠席を求めている。
http://www.taipeitimes.com/News/front/archives/2008/04/09/2003408819http://www.taipeitimes.com/News/front/archives/2008/04/09/2003408819

▼多様性が荒々しく残る中国


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04月20日(日)
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