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原案帳#20(since 1973-)
by 会津里花
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■また田中宇的モーソー
田中宇のコック際ニュース解説・北朝鮮ミサイル危機と日本(2006年7月11日)より。

(以下抜粋)--------------------------……(記事の前半は省略しました)……

▼日本にほえさせて中国をけしかける

 国連での北朝鮮制裁案の審議は、中国政府を「早く6カ国協議を開かねば」
という気にさせている。アメリカは、日本の強硬姿勢を支持することで、中国
に6カ国協議の早期開催をけしかける戦略であると見ることができる。

 日本は、日米同盟の強化を願って、北朝鮮に対する強硬姿勢をとっているが、
この日本の姿勢を利用してアメリカは、日本の願いとは逆に、中国中心のアジ
ア諸国の自立した動きによって、朝鮮半島の問題を解決する新体制を作ろうと
している。中国の外交努力が成功したら、その後の朝鮮半島は、中国と韓国、
ロシア、北朝鮮という当事者間の話し合いで動いていくようになる。アメリカ
は、東アジアおける国際体制の多極化を容認する度合いを強める。日米同盟強
化のための日本の強行策は、結果的に、日米同盟の空洞化を進めることになり
かねない。

 このような展開を食い止めようと、日本が強硬姿勢を激化させたら、アメリ
カはそれを支持し続ける。たぶん最後まで、日本を制止するようなことはしな
い。アメリカのネオコンやタカ派は、日本の強硬姿勢を大歓迎するだろう。し
かし、そこには罠がある。

 アジア周辺諸国は、日本に対する批判的な姿勢を強め、日本抜きでアジアの
問題を解決していく体制を作るようになる。アメリカは、二枚舌的に、このア
ジア独自の問題解決体制に対して「アメリカの負担軽減になる」と言って歓迎
する姿勢を見せるだろう。

 そしてアメリカは、アジアが独自に問題を解決できるようになったところで、
アジアに対する影響力の行使を減らしていく。「これからもずっと日本の味方
です」と言いながら、静かに日本からも米軍を引き揚げる。窮した日本が「こ
れから日本はどうやって生きていけばいいのですか」とアメリカに相談すると
「中国や韓国と仲良くしたら良いのではないですか。中韓も、日本との関係強
化を望んでいるようですよ」と、おだやかに示唆される。私には、そのような
展開の可能性が、日々強まっているように見える。

▼イギリスやイスラエルの二の舞に?

 ブッシュ政権になってから、アメリカの覇権力を利用して自国の力を伸ばそ
うとした同盟国が、次々に似たようなやり方で弱体化させられている。イギリ
スやイスラエルがその例である。

 イギリスは911後、冷戦に似た長期の地政学的な対立として「テロ戦争」
を数十年続けることをアメリカと一緒に画策し、アメリカが単独でやろうとし
たイラク侵攻にもついていった。たが、アメリカはイラクの占領を泥沼化させ
てしまい、イギリスでは反米感情が強まって、ブレア政権は窮地に陥っている。
http://tanakanews.com/g0613UKUS.htm

 イスラエルも、テロ戦争の「キリスト・ユダヤ連合対イスラム世界」という
構図を利用し、イスラムのアラブ側を政権転覆によって無力化し、中東での力
を拡大しようとした。しかしこれも、アメリカが過激にやりすぎた結果、イス
ラム世界が反米・反イスラエルで結束する逆効果をもたらし、窮したイスラエ
ルは、パレスチナ占領地からの撤退という「縮小均衡」で逃れようとしたが、
困難に直面している。
http://tanakanews.com/f1108israel.htm

 イギリスやイスラエルは、ブッシュ政権の強硬姿勢を利用して自国を強化で
きると考えたのだろうが、ブッシュ政権は強硬姿勢をやりすぎて、世界中の
反米・非米の勢力を強化してしまい、自国と同盟国を弱体化している。日本も、
今はまだ、日米同盟で中朝露など対峙して勝てると考えている人が多いだろう
が、そのうちにイギリスやイスラエルと同様、ブッシュ政権の隠れ多極主義者
に足をすくわれかねない。

 日本が、自国に不利な結果を招きたくないと考えるなら、対米関係だけに賭

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07月13日(木)
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