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原案帳#20(since 1973-)
by 会津里花
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■「記念日」(忘れてた)
昨日はバレンタイン・デイ♪ チョコレート大作戦だいっ! ……などとお気楽なものではなくて。
(もちろんチョコレートは当日会った人みんなにあげたよ!男も女も関係なく)

実は。
「2月14日」というのは、わたしにとって決して楽しいとは言えない「記念日」なのです。
あまり言いたくはないかも。
だって、言ってしまったら「なんてひどいことを」と言われるようなことをしたから。

4年前のこの日、わたしは当時結婚していた人との離婚を、なかば強引に実行してしまったのだった。
それ自体が暴力だった、と今は思う。

それまで彼女はわたしを受け入れられるかも、と思っていたようだった。
でも、わたしは彼女がわたしを「裏切って」実家に帰ってしまった、ということにとても傷つき、困ったことに「仕返ししてやらなければ気がすまない」と思っていたのだ。

結果、彼女はたぶんわたしの思惑以上に傷つき、わたしとの接触を避けるようになった。
わたしがどんどん女性化していくのを知れば知るほど、「会いたくない」「子どもと会わせるわけにはいかない」と言うようになり、ついには「もう一切連絡をしてこないで」と言うようになってしまった。

当時のわたしは自分がどれほどひどいことをしたか、無自覚だった。
でも、主にインターネット上で「被害者」と呼ばれる人たちの声を聞いているうちに、少しわかってきた。

今は自覚があるので、「なんとひどいことをしてしまったんだろう」と後悔と懺悔の気持ちが沸き起こる……けれど、だからといってそのために何かができるわけではない。
少なくとも、たとえば直接彼女に対して
「ごめんなさい。
わたしがしてしまったことに今は自覚があります。
心からあやまりますから、どうか許してください」
などと言うことは絶対に許されることではない。

もしもわたしにできることがあるとしたら、それは、
わたし自身が誰であれ他人に対して暴力的・攻撃的でない関係性を持つことを努めること、
わたしが気づいたことを、正しいことがらであればできるだけ多くの人々に伝えること(ただし、彼女や子どもに直接伝えてはいけない)
くらいではないだろうか。

ちょっと前に「前向きの後悔」ということを書いたけれど、「2月14日」という「記念日」に思い起こすこともこれと似ていると思う。

で。

あるところで「離婚」について混乱したことを書いてしまった。
「加害者が被害者にしてやれるのは離婚して相手を手放してやること」
「わたしは暴力行為として離婚をした」
と両方書いたけれど、どっちが本当?
これじゃわからない。

と、書いていた時には、実はこの「記念日」のことをすっかり忘れてしまっていたのだった。

ちょうどたまたま、この日(14日)までの3、4日+その前の準備期間も含めれば1週間くらい、ライブが続いてばたばたと忙しく、
(それについては会津里花公開スケジュールをご参照ください)
そんな中で「理由のよくわからない抑鬱感」に苛まれても、それが実は(全てじゃないにせよ)「記念日」を引き金としている、とか
上に書いたように「離婚」について混乱したことを書いたのも、どうやらこの日を無意識に念頭に置いていたからかも、とか
そういうことをぜんぜん思い出すことなく過ごしてしまっていた。

わたしのレパートリーの中に『Dreamer―夢見た人―』という曲(小川ロン・作詞作曲)があるが、その中に

<♪思い出すことなく 忘れることなく
 胸にあなたの Last, Last Call そっと しずめたい・・・>

という歌詞がある。
たまたまだけれど、ちょうど「思い出すことなく、忘れることなく」という状態にあったのかもしれない。

そういう中で、ライブをこなすことができた。

それは、わたしにとって心強いサポートをしてくれる人がいるから、ということも、忘れてはいけないだろうと思う。

おかげさまで「記念日鬱」は回避できた……っていうか、なりかけたけれど立ち直った、というか……と思う。

ありがとう。
02月15日(日)
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