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原案帳#20(since 1973-)
by 会津里花
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■『三人姉妹』エピソード

★1・『三人姉妹』二日目まで終えて
★2・↑読んだら
★3・ファンタジーは不毛じゃないよ!


★1・『三人姉妹』ようやく二日目まで終了(ジェンダー系エピソード)
今回『三人姉妹』で、私は女役と男役を二役やっている。

で、今回の「らせん劇場」の公演は、基本的に「リアルに演じる」ということなので、
私のそういう「二役」は、ちょっとした波紋を投げかけているところがあるようだ。

終演後に会場の出口まで出て、お客様をお見送りするのだけれど、
初日に一人、二日目に一人、私に声をかけてきた人(たち)がいた。
いずれも若い人たちだった。
聞かれたのはいずれも「本当は(男女の)どっちなんですか?」ということだった。

たぶん、最初のほうの「女役」(メイドさん)はそれなりに女らしく見え、
後でメイクも衣装もすっかり替えて出てくる「男役」(大道芸人)もそれなりに男らしく見えるのだろう。
実際、自分で鏡見てて、男役の顔、「カッコイイ」と思ったもん(^^;
(↓ケータイで撮った大道芸人のメイクをした私)


思春期にさしかかるくらいの男の子が、特に興味を持って、というか
強い疑念を持って私にかなりしつこく聞いてきた。
けれど、それも悪いことではないと思った。
私は「そういうふうに疑問をもつことが大切なんだよ」と答えた。
ただ、その場では時間がなくて、その子の疑問を解いてあげることはできなかった。
仕方がないので、「次の公演にも来てくれたら、ゆっくり教えてあげる」と答えたけれど、
それって大人特有の「ずるさ」かもしれない。

まあ、でも、その子が疑問を持ち帰ってあちこちに聞いてまわり、
どの程度まともな答えを得ることができるか、それが楽しみでもあり、不安でもある。

……ちょっと不安が強くなってきちゃった(;_;)……

……私の地元にはそういうことにまともに答えられる人=主に教師、がどれほどいるか、ちょっと心配。
性教育に真剣に取り組んでいる先生たちとその全国組織が存在することは知っているので、
その活動に関わったり恩恵にあずかったりしている先生がこの地(またはその子の通う学校)にもいてくれることを願うばかり……
もしもその子がまともな答えを得られず、逆にとんでもない偏見を植え付けられてしまうとしたら、
それはとても悲惨なことになってしまう。
かつての私と同じように、解けてしまえばぜんぜんくだらないとしか思えないような差別意識を
わざわざ大人から植え付けられるとしたら、その子にとってどれほど大きな損害だろう!

ジェンダーの問題に限らず、子どもの疑問は純粋だ。
それに対して、大人が文化としての「差別」「偏見」を教えてしまうのは、
なんとしても食い止めなくてはならないことなのだ。

私自身にも、とても嫌な、今でもこびりついている「差別」「偏見」がある。
私の頭の片隅には、今でも「朝鮮人」という言い方に、何か汚いものででもあるかのような感覚が残っている。
悔しいけれど、それを意識して、それから改めて
「いやいやそうじゃなくて」とその感覚を振り払うようにしているところがあるのだ。
私はそれを、父親から強く教え込まれた。
とても口に出しては言えないような呼び方で。
私はそれが悔しい。私の心に強い差別意識を植え付けた父親が憎い。
いつもいつもそれを意識しては振り払うという苦しみをもたされていることが辛い。

「差別」「偏見」は、無知と恐怖から成り立っている。
よくわからないから本当は怖いのだけれど、
「あんなものを怖がるのはどうかしている」というくだらない矜持から、
そういう相手をあえて「見下し」「排除し」「劣ったものとして扱う」。

ある意味、「差別」「偏見」は、大人の「無知」と「恐怖」を子どもに押し付けることだ、と思う。
そういうものが一切なくなる時代なんて、ないのかもしれない。
けれど、「無知からくる恐怖」なんて、正しい知識(あるいは認知)を教えられれば
解けてしまうものなのだ。
「昔の暗かった時代」をあえて子どもに押し付けて

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04月30日(水)
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