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原案帳#20(since 1973-)
by 会津里花
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■小説一本分のお散歩
新宿から神楽坂まで徒歩で……
と思ったけれど、市ヶ谷で諦めた。
親切な友人が、私が例によって迷子になってあるんじゃないかと
心配して電話してくれたのだった。
まさか気がついたら中央線の日野駅で途方に暮れていた、なんてこと、ないわよ!
(昔はそういうことがあったプ)
結局、靖国通りを中央線にぶつかるまで歩いたのだった。
歩いていると、とてもいろんなことを考える。
そして、気付きがある。
で。
途中、なんだかやたらと壁だか塀だか石垣だかの
高い風景が続いていくところを、かなり長く歩いた。
なんの建物?敷地?と思いつつ、
なんとなく圧迫感があって落ち着かない。
標識を見ると
「牛込警察署」
という地名が目につくので、
「ここがその警察署?」
と思ったりした。
都心だし、大きな警察署っていうのもアリなのかな、と。
でも、どうやらそれは「牛込署の管轄」ということだったらしい。
「正門」とおぼしきところを通り過ぎる時、
私は見慣れないものを見て戸惑った。
兵士の姿をした男性が門を入ったところの左右にいて、ものものしく警備しているのだ。
それを見てとっさに思ったのが
「ここはパンムンジョム(板門店)か?」
だったほどだ。
いや、自分でも幼稚だなとは思うけれど、
制服を着た兵士なんて普通は見ないでしょ?
(日常的な風景になってほしいとも思わないし)
もう少し歩いていくうちに、駅が見えてきた。
さっきからトイレに行きたかったし、
歩き通すと言ったって休みなしではムリだろうと思い、
その駅=市ヶ谷駅のそばの「ドトール」に入った。
店員さんと「ドトールは分煙化が最大の問題」とかおしゃべりしながら
(優しい店員さん、あなたのせいじゃないのよ〜!>分煙化)
コーヒーを飲んでいるうちに、突然気がついた。
私がずっと横を歩いていたのは、実は
防衛庁・自衛隊市ヶ谷駐屯地
だったのだ。
なんてタイムリーなお散歩だったろう!
開戦のその日に歩くなんて。
私の、手当たりばったりの「カン」が、知らないうちに
時代の中で迷子になっている自衛隊のそばを
私にさまよわせたのではないだろうか。
なあんて。
03月20日(木)
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