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原案帳#20(since 1973-)
by 会津里花
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■性同一性障害を考えるフォーラムinしずおか、本日開催!! (+6/21追加記事あり)
そのようなステレオタイプで差別されてきたからだ。
周囲のそういう「期待」に沿わなければ、自分の生きる居場所がない、と思うからそのように振舞うようになったのだ。
これは、差別の姿そのものではないか。
いわゆる「オカマ」「ニューハーフ」を含めて、性同一性障害の当事者、特にMtF(生物学的男性だけど精神的には女性)は、平均的な男よりも「性欲」に対してはかなり控えめで慎み深い。
それなのに「飢えている」と思われるのは、男がこのように思うからではないか:
「オレは女に対してこんなに飢えている。ということは、本当は男であるオカマは、オレを含めて男に対して飢えているんだろう。気持ち悪い!」
見てわかるとおり、これはとんでもない誤解であり、性同一性障害に対して正しい理解を放棄しているからこんな考え方になってしまうのだ。
男が性的に「飢えている」のは、男性ホルモンの機能のせいで仕方がないことだ。
でも、一緒にしないでほしい。
正しい理解を放棄しているから……というより、正しく理解する手がかりを、今の(少なくとも日本の)社会は、持とうとしてこなかったのだと思う。
だから、わかっていない「勘違いオヤジ」が多くいても、いちがいに責めることはできない。
これからは、法律の整備も含め、性同一性障害やその他のセクシュアル・マイノリティを正しく認知し、理解していくことに、当事者・非当事者の双方が努力していくべきだと思うし、それができる程度に社会が成熟してきているのだと思う。
<以下余談>
(逆にいえば、性的に不自然な抑圧をしないと成り立たない「未成熟な社会」というのもあると思う。
端的な例は「戦争状態にある社会」だ。戦争にとって、セクシュアル・マイノリティは、邪魔で目障りな存在だろうと思う;戦えないし、戦闘に向いている「男」の気をそぐから。
だからこそ、20世紀半ばまでの欧米の多くの国、特にアメリカ合衆国などでは、宗教の名を借りてセクシュアル・マイノリティを必死で排除していた。
平和な日本人にはちょっと考えにくいけれど、セクシュアル・マイノリティをそうであるからというだけの理由で殺してしまう、というような「ヘイト・クライム(差別に基づく憎しみからの犯罪)」さえある、という。
でも実は、キリスト教が同性愛などのセクシュアル・マイノリティを差別するようになったのは、中世の頃にキリスト教を悪用して農民の抑圧支配をしようとしたことから始まったのだ、とも言われている。
あるいは、現在のイスラエルを見ていて思うのだけれど、あの土地がそういう面で「呪われている」からなのかもしれない。
関係ないけど、イスラエルは「憎しみの連鎖」を自分から手放すべきだと思う。
もう二度と「報復」をしないでほしい。
先住民を排除して無理やり国土を分捕ってしまったんだから、それで憎まれて殺されたりすることがいくらかあったって、仕方がないじゃないか、とさえ言いたくなる……
ああ、これはアメリカ合衆国の姿とも重なるのか。
どうもこのところ、アメリカとイスラエルがやけに似ているような気がしていたのは、そのせいだったのか。
「先住民を排除した」という事実は、征服者の心に暗い後ろめたさの影を落とす。
それが、陰に陽に、征服者に好戦的な態度をとらせたり、差別を好ませたりするのかもしれない。
でも、憎しみの連鎖を手放せないイスラエルから、ダナ・インターナショナルDana InternationalというMtFの優れた歌手が出てきたのは、「憎しみの連鎖」を後悔する潜在意識がイスラエル人の心にあることを象徴しているような気がして、面白い。
現代の世界は、もはや征服と排除を正当化しない時代にさしかかっているのだろう)
06月14日(土)
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