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原案帳#20(since 1973-)
by 会津里花
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■今日、お誕生日なんですよ 告知とカムアウト
同様に「睾丸性女性化症候群(アンドロゲン非感受性症候群)」の場合も、
「困惑」が生じてしまうのは仕方ないのだと思います。
特に、AISの人たちの中には、ぱっと見はXXの女性と全く変わらない
(昔の何かの本には「女性の中でも特に女性的」などと書いてありました。
確かに、全身の細胞がアンドロゲンに対する感受性がなければ、
「男性的な要素を全く含まない体」に育つ、といっても過言ではないでしょう)
なのに、あるとき突然
「あなたは『本当は』男なんだよ」などと言おうものなら、
「私のどこが男?」に始まり、
「こんな体に産んだ親が憎い!」とか
さまざまな恨みつらみが噴出してしまうでしょうね。

私が思うに、「告知」するなら
・できるだけ正確に伝えること(部分的に隠したりしない)
・当事者が理解できる言葉を捜しながら伝えること

その告知が遅れてしまって苦しい思いをするのは
誰よりも当事者自身だと思うので、

ちゃんと伝えて、ちゃんと謝る。

これが最善の方法だと、私は思います。

懸念されているとおり、昨今はインターネットなどで
簡単に「いちばん正確なこと」を自力で突き止めてしまうことができますよね。

患者が最も悲しむのは、
自分についての事実を「隠蔽」されていた、ということに対してだと思うのです。

実は、私も一昨年、母に肺がんの告知があって、
昨年初めに亡くなるまでずっと付き添っていました。
母は晩婚で遅い出産だったため、
亡くなった時にはもう80歳でした。
当然のことながら、医学的な専門用語ばかり並べられたら、
わかるはずがありませんでした。

それで、私は母に付き合って受診し、
その場で担当医の先生がおっしゃることを
まるで「翻訳」でもするかのように
母に伝えていったのです。
なんでそんなに自信ありげに言うかというと、
私は母とかなり密着したままで私もこの年(ひみつだけど)になってしまって、
日常的にとても密接なコミュニケーションをとっていたので、
お医者さんの言うどの言葉が自力で理解でき、
どれは無理か、ということが
ほとんど手にとるようにわかったのです。

もしも当事者本人に告知するにせよ、
当事者側に立って本人がどういう言葉だといちばん通じるかを
知っている人が同行するのが良いと思います。

長い前置きも必要かもしれません。

突然出てきたと思ったら長いことを書いてしまってすみません。
私はMtFTSです。
でも、性自認については、いろんな意味でまだまだ揺らぎを感じています。

以下、前の記事の「つづき」です。
私が本当に「AIS」だったら、こんなふうに言ってもらえれば、
まだ耐えられるかな、ということ。

「性別には実はとても多様なバリエーションがあって、
最大多数の人が『誰もがみんな当然』と思うような
二つの性別、つまり「男」と「女」のほかに、わずかずつだけれど
考えようによっては男女どちらとも取れる、
あるいはそのどちらでもない、またはある、
そういう人たちがいます。
そうして、その人の体はその人のものなのだから、
その人がどういう性別で生きていきたいか、ということが
本来は最も優先されるべきことなのです。
(わかりにうそうだったら、言葉を選びながら繰り返すとか、
付き添いで来た人にもちょっと補足してもらう、とかいうことが必要でしょう。
できれば、付き添いの人には何らかの予備知識が必要かもしれませんけれど、
「本人の私にだけ隠していたなんて!」と思われてしまうと困るので、
一般的な知識や情報を多くもっている程度くらいの人に、
何も告げずに付き添ってもらえばいいのでは)

過去にあなたに対して事実を告げないまま
処置をしてしまったことは、
同じ医療従事者としてとても申し訳ないことだと思います。
つい十年ほど前までは、「XYの男」と「XXの女」しか

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03月18日(月)
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